対象:住宅賃貸
大手HMに建替新築依頼中で、仮住まい探しのお手伝いを担当営業にお願いしました。
競合他社のHMにお願いした時には「仮ナビ」から営業の方がご自分で
検索してくださったのでそのつもりで当方はお願いしました。
しかし、フリーの仲介業者の方を紹介され、その方がピックアップした
大手賃貸会社が所有する物件3社分を内覧しました。その賃貸料は
20万、30万、35万円でした。私たちは20万円の物件で契約し、
フリーの仲介業者の方に仲介手数料として20万円支払いました。
宅建業法で「賃料の仲介手数料は原則0.54カ月分」に定められているという事を知りました。
依頼者の承諾があれば1ヶ月分とありますが、私は承諾しておりません。
HMから紹介された時には、仲介手数料の話は全くなかったので、
HMが持つのかと思っていたくらいです。フリーの仲介業者にもこの宅建業法は
当てはまりますか、今からでも残金を請求できますか。教えてください。
321homeさん ( 兵庫県 / 女性 / 50歳 )
回答:1件
仲介手数料に関する判決について
321home様
はじめまして、不動産コンサルティング会社、アドキャストの藤森と申します。
ご質問いただきました件ですが、今年に入って同様のケースでの判例があります。
大手仲介会社に仲介手数料の一部を返還することとなる、仲介業者が敗訴
するという内容の判決です。
「借り主の事前承諾なく手数料1カ月分を取ることは違法」という二審判決が
確定し、国の定める「原則0・5カ月分」にのっとり手数料の一部を返還する
ことになったというものです。
おっしゃる通り、宅建業法では、借り主から取ってよい仲介手数料の上限は
「原則0・5カ月分+消費税」と定まっていますが、仲介依頼が成立するまでに、
借り主から承諾を得ておけば家賃1カ月分でも違法にならない例外規定もあり、
賃貸契約の際に1カ月分の手数料を支払うことも多いと思います。
但し今回の判決では、仲介手数料が記載された入居申込書・賃貸借契約書へ
署名・押印したうえで手数料を支払ったにも関わらず、この署名・押印より前に
手数料1カ月分の承諾を得なかったことを違法としています。
業務の流れ上、契約のタイミングで説明することが多く、案内時や契約前日までに
家賃1ヶ月分の承諾をとることは少ないと思います。
ですが今回の判決は、5年間住んだ後に借り主側から、
「原則0・5カ月分を知らずに言われるがまま支払った」
「(手数料を)事前に承諾していない」として、宅建業法の例外規定を
満たしていないとする主張が通った判決です。
それから各社、事前承諾をした事実を担保する為、事前に同意する旨の
書面を作成し対応しています。
フリーの仲介業者というのが法律上どういった立ち位置で活動し、
どういった名目で報酬を得ているのかにもよりますが、宅建業法の
対象となる、貸借の媒介を業として行うものであれば、法人・個人
に関係なく業法を遵守する必要があります。
案内の段階で説明や同意する経緯がないのであれば、返金してもらえる
可能性はあると思います。
なお、こういった判決を知ったうえでの営業スタイルであれば、若干悪質な
印象がありますし、そのような主張に備えた対策も講じているかもしれません。
また、最近の判決などを知らないようであれば、勉強不足で日頃から雑な営業に
なっている等、まともな話が通じない可能性も危惧されます。
321home様側に筋が通っていればいるほど、不誠実な対応に腹立たしくなることも
あるでしょうが、そういった業者は未だ存在します。
万一、そういった場合でも感情的にならずに、冷静に対応し、専門家のアドバイスなども
頼りながら、もっとも321home様の利益につながる行動をとって頂ければと思います。
以上、ご参考になりましたでしょうか。
アドキャスト:http://ad-cast.co.jp/ 藤森哲也
評価・お礼
321homeさん
2020/05/18 23:58アドキャスト/藤森様
このたびは、非常に丁寧に、わかりやすく説明して頂き
とても参考になりました。ありがとうございました。
返金は期待せず、どのような主張をしてくるのか
教えて頂いた判例とともに尋ねてみようと思います。
お忙しいなか、ありがとうございました。
回答専門家
- 藤森 哲也
- (不動産コンサルタント)
- 株式会社アドキャスト 代表取締役
将来必要なお金を把握せずに、家を買うのって怖くないですか?
売ってしまえば終わり・・・になりがちな不動産業界の現状に疑問を抱き、不動産購入には欠かせないお金の勉強をスタート。FP資格を取得。住宅購入に向けての資金計画、購入後の人生設計までトータルにサポートする「一生涯のパートナー」を目指しています。
(現在のポイント:-pt)
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