対象:事業再生と承継・M&A
設立6ヶ月社員5人のベンチャー企業で事業部長をしていますが、経営不振により大株主のベンチャーキャピタルから社長が解任されることになりました。後任として打診を受けていますが、このままだと倒産する可能性がある為、社長になるべきか迷ってます。社長になった後に倒産した場合、私が背負うリスクにはどんなものがあるのか教えてください。
シャカールさん ( 東京都 / 男性 / 38歳 )
回答:1件
会社倒産時の社長の法的責任について
シャカールさん、こんばんは。
社長時に会社が倒産した場合、社長のリスク(責任)はどのようなものか?
というご質問ですね。
以下、会社が倒産した場合の社長の責任について、コメントさせていただきます。
1.会社倒産時の社長の責任について
まず、会社が倒産した場合でも,個人である代表者・取締役は,
会社の負債について法的責任を負わないのが原則です。
会社の倒産はあくまで会社が責任を負うべきことですので,会社の経営に失敗したということだけで,代表者や取締役が法的責任を負うわけではありません。
ただし、どのような場合でも代表者や取締役が法的責任を問われないというわけでなく、会社の債務について連帯保証している場合には連帯保証人としての責任を負担する必要があります。
2.社長が保証人・連帯保証人である場合
会社が銀行など金融機関が借入れをする場合,その借入れについて保証人・連帯保証人を付けることを求められることがあります。(経営者保証)
中小企業が融資を受ける場合には,代表取締役の連帯保証がつけられるのが通常です。
事情によっては,代表者に加え、その他の取締役等も連帯保証人となることがあります。
この場合,保証人・連帯保証人である代表者や取締役は,会社の当該債務についての支払義務を負うことになります。
会社が倒産すると,当然,会社はもはや債務を支払うことができなくなりますから,その債務については,保証人・連帯保証人である代表者が支払う必要がでてきます。
会社が破産することによって,債務の期限の利益が失われることになるのが通常ですので,保証人・連帯保証人は,会社の債務について一括で返済しなければなります。
ただ、「経営者保証」については、2014年2月から「経営者保証に関するガイドライン」といって、健全な会社であればできるだけ経営者保証なしで融資を実行しましょう、という方針が定められています。
(参考)経営者保証に関するガイドライン
http://j-net21.smrj.go.jp/well/qa/entry/Q0976.html
3.社長が損害賠償責任を負うケース
前記のとおり,単に経営に失敗したというだけでは,会社自体や株主・債権者などの第三者に対して損害賠償責任を負うということはないのが原則です。
ただし、明らかに不合理・不適切な職務執行をして会社を破産させるに至ったというような場合には,会社又は第三者に対して損害賠償責任を負うこともあり得ます。
取締役は,会社に対して忠実義務・善管注意義務という法的義務があり、これらの義務に違反した場合,その取締役は,会社に対して損害賠償責任を負うことになります(会社法423条)
・忠実義務:取締役は法令・定款規定と株主総会会議を遵守し、会社のため忠実に責務を果たす義務があるという規定
・善管注意義務:会社と委任関係にある取締役は良識ある管理者として注意深く職務にあたらなければならないという規定
(参考)会社法423条
https://ja.wikibooks.org/wiki/会社法第423条
ただ、代表者や取締役には経営判断の裁量権が認められていますから,単に経営に失敗して会社を破産させてしまったというだけでは,忠実義務・善管注意義務違反の責任を負うことにはなりません。
法令に違反する行為をしていたり,会社財産を私的に使い込んでしまっていたり,明らかに無謀な投資などを行った結果会社が倒産に至ったというような特殊な事情がない限りは,役員責任が問われるという事態になることあまりありません。
以上、会社が倒産した際の社長のリスク(責任)について、コメントさせていただきました。
回答専門家

- 小松 和弘
- (東京都 / 経営コンサルタント)
- ホットネット株式会社 代表取締役
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