対象:事業再生と承継・M&A
ある事業を営んでいる同族会社の経営者です。現在、役員二名および、それぞれの家族(配偶者、子供)、すなわち、役員A家族と、役員B家族が、会社の株をほぼ半々づつ所有しており、他の株主はおりません。
将来、会社を子どもに継承するにしても、各家族間でどちらの子供を社長として継承するか?、将来的に会社をどうしていくかなど、ふた家族間で、いろいろ意見の食い違いなどが生じたときに、揉め事ができるだけないためにも、既存の会社を二つに分けて、会社の事業とそれに付随する資産も各家族それぞれ、ほぼ半々になるように分け、各々の会社(会社Aと会社B)の株主は、それぞれ、A家族のみ、B家族のみとし、各会社間に、いわゆる親会社、子会社などの利害関係のない、それぞれまったく独立した会社とするには、どのような方策があるでしょうか?
なお、会社の資産としては、あまり細かくは説明できませんが、不動産(土地、建物)数件、有価証券(上場株式、債券など)、預貯金などが主なものです。
漠然とした質問で、恐縮ですが、いろいろと前提条件や、仮に○○として...等々、不足している部分は、仮定の条件として、付け加えていただいて結構ですので、よろしくご教授ください。
bozo0719さん ( 東京都 / 男性 / 57歳 )
回答:1件

棚瀬 孝雄
東京弁護士会所属 中央大学法科大学院教授
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会社分割などで実現可能です
事業を分けることが可能であれば,株式会社法上の「会社分割」を行うことが考えられます。例えば,ビルを所有し,1階部分でコンビニエンス・ストアを経営するとともに,2階より上の部分をテナントに賃貸している場合を考えてみると,新会社を設立してコンビニエンス・ストア経営事業を全て承継させ,既存会社にはビルの賃貸事業だけが残る方法で会社を分割することができます。新会社の株式は,既存会社が対価として受け取り,現物配当として株主に移転させるのが通常です。その結果,株主は,コンビニエンスストアを経営する会社とビルの賃貸事業を行う会社の2社の株式を持つことになります。このような方法は,「人的分割」「分割型分割」などと呼ばれます。具体的な手続としては,分割計画の作成,株主総会の承認,債権者異議手続,登記などが必要です。税務上は,「適格会社分割」として課税を繰り延べる方法があります。
ご質問の場合も,まずは会社分割を行い,その後にA家族とB家族との間で株式譲渡を行うなどすれば,A会社の株主はA家族のみ,B会社の株主はB家族のみという状態を実現することができます。A家族とB家族との間で後に紛争が生じないよう,利害関係を丁寧に調整しておくことが重要であり,それぞれ家族の相続問題も含め,全体的な事業承継を考えておくのが良いでしょう。また,会社分割にあたっては,取引先との関係維持や,雇用関係の整理,許認可の承継なども必要です。総合的な課税関係や,会社規模の縮小による影響も,事前に検討しておいた方が良いです。関係書類の作成や登記だけであれば司法書士でも対応可能ですが,税務上の問題もありますし,総合的な紛争予防という点では弁護士への相談や依頼を行っておくのが望ましいでしょう。
評価・お礼

bozo0719さん
2014/03/06 22:32お世話になります。
当方からの、会社の事業内容なども具体化させない漠然とした質問に対して、分かりやすい例を挙げて、非常にご丁寧に回答をいただきまして、誠にありがとうございます。
大変参考になりました。実現に向けては、先生の仰るように、専門の弁護士、会計士等に相談の上、進めていきたいと思います。
ご回答いただきましたことを、感謝いたします。
(現在のポイント:-pt)
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