対象:新規事業・事業拡大
現在、個人経営のスクールで働いています。
ただ、年内に経営者が海外へ永住することになりましたので、雇用契約、社会保険(現在雇用保険のみ加入)、スクールの賃貸借契約、現金預金管理のことなどで不安がいっぱいです。
数名の従業員がいる程度の小規模のスクールで、全て日本人向けのレッスンを提供しています。
この場合、事業主が海外へ移住するに当たって
A.住民票を海外へ移した場合
B.住民票を国内へ残した場合
とが考えられると思います。
A.の場合は、誰か別の方へ経営権を譲渡した方が後々のこと(賃貸借契約、現金管理、契約締結)を考えるといいのでしょうか?
また、A.B.それぞれのメリット・デメリットがあれば教えていただければと思います。
caniaskyouさん ( 福岡県 / 女性 / 32歳 )
回答:1件
事業主様と話し合いの場を持つことをお勧めいたします。
caniaskyouさん、こんにちは。
勤務先の事業主様が海外移住を決め、住民票を海外へ移す場合、通常業務に支障がでないかというご質問ですね。また従業員であるcaniaskyouさんが事業の将来に不安をお感じになっていらっしゃる点について考えてみたいと思います。
まず一般論としては、いくつかクリアしなければならない問題がありますが、制度上は個人事業の事業主が海外在住となっても個人事業は継続できます。
住民票を海外へ移した場合のデメリットは
(1)契約時に住民票や印鑑証明が添えることができない。
(2)これまで利用していた銀行口座が利用できなくなる。
などです。
(1)に関しては在留証明書、署名証明書といった書類で代用することが考えられます。
(2)に関しては国内の銀行の通常口座の開設は難しくなりますが、多くの銀行は「非居住者預金口座」を設けています。これらを利用して国内の銀行取引は可能です。
その他経理上の変更点としては納税地(確定申告の提出先税務署)が変わります。事業主の住所によって決まりますが、国内に住所がなくなる場合、納税地がその事務所等の所在地となります。
いずれも交渉・説明や事務負担の増加が発生すると予想されますが、そのためにただちに経営者を変える必要がある、というものではありません。
一方、住民票を移動しない場合のメリットはこの裏返しで、上記の件についてこれまで通りに運用できるというものです。ただし、注意していただきたいのは、住民票は「住民の居住関係の公証」(住民基本台帳法1条)のためのものですから、住民票を国内に置くということは、正当に解釈すれば国内に居住すること=海外移住をあきらめる、ということになります。事業の便宜のために実態と無関係に操作できるものではないことにご留意ください。
またこうした手続き上の課題とは別に、事業主様が国内にいる時間が少なくなり、スクール運営の細部に目が届かなくなるなど、経営判断を行うことが困難になる場合があります。おそらくcaniaskyouさんが不安をお感じになっているのもその辺りではないでしょうか?
補足
これは事業の内容によりケースバイケースですが、確かに経営者不在を防ぐための選択肢の一つとして経営権を譲渡することは考えられるでしょう。従業員の方々が今後のスクールの経営に強い不安をお感じになっているのであれば、まず事業主の方と相談し問題意識を共有する機会を持つことを強くお勧めいたします。その場で困難さを訴えた上で、事業譲渡や代理の経営者をたてることを提案されてみてはいかがでしょうか。ただしその際に、あくまでも事業主様にもご本人の人生がおありですから、従業員のどなたか、あるいは外部の方の中に事業を譲渡するなどの具体的な解決策を考えて臨むことが必要となるでしょう。
caniaskyouさんと従業員の皆様、事業主様の幸福とスクール事業の成功をお祈りいたします。
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次回以降の、質問時に利用をご検討下さい。
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評価・お礼

caniaskyouさん
2012/10/01 23:53小松和弘様
大変詳細な回答をいただきありがとうございます。
近日中に事業主との話し合いの場を設けていますので、このご意見を参考にさせていただき、スクールの将来や事業主・従業員の将来を含めて、具体的な解決策を立てるべく話し合いを進めて行きたいと思います。
本当にどうもありがとうございます。
回答専門家

- 小松 和弘
- (東京都 / 経営コンサルタント)
- ホットネット株式会社 代表取締役
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