対象:会社設立
数年前(H17頃)申告をしないまま休眠状態となった父の会社を再度復活させようと思っています。
どんな手続が必要になりますか?
また休眠していた会社を復活させるにはどれくらいの費用がかかるものでしょうか?
H17年6月30日(決算)までは、役員登記や申告などを行なっていたようです。
登記簿を取り寄せたところ開業していた頃の住所のままなので
現在、私が住んでいるところを会社の所在地に登記しなおそうと思っています。
これにも費用が発生すると思いますが、実費でどれくらい発生しますでしょうか?
現在、会社はとりあえず私一人です。
あまりにも費用が発生する場合、個人事業主として
始めて、その後、まったく新しい会社を(合同会社など...)設立したほうがよいのでしょうか?
ご指導よろしくお願いします。
補足
2012/01/11 16:14碇谷 賢祐様
大変丁寧にご説明頂きありがとうございます。
感謝致しまします。
専門外かもしれませんが、一点税務面でお聞きしたいのですが、
税務申告が為されていない間の「法人住民税」などは発生しませんでしょうか?
父がその点を懸念していたものですから。
また法務面ですが
H22年に取得してあった「現在事項全部証明書」によると
登記住所が「東京都西東京市」管轄は田無出張所です。
現在の私の住所は練馬ですがこの場合「東京法務局」管轄で
同一管轄内での移転と考えてもよろしいのでしょうか。
また、父が作成した定款によれば
取締役の任期は2年。監査役が4年となっています。
就任はH17年ですので、19年までの任期とするとそれ以降
2期程度重任登記が為されていないことになります。
私は一人で始める予定ですので、取締役もいないのですが
重任登記を行う場合は定款を変更する必要があるのでしょうか?
全部証明書には
「取締役設置会社」「監査役設置会社」とあります。
私一人で始めるので、いわゆる「一人株式会社」としたい場合、定款を変更すれば
はこの項目から、それぞれの文言は削除されるのでしょうか?
長くなってしまい本当にすみません。
お答え頂けるようであればとても助かります。
ayaka-83さん ( 神奈川県 / 女性 / 28歳 )
回答:3件
多角的観点から検討しましょう
ayaka-83さん、こんにちは。
既に碇谷先生、柴崎先生より回答がされていますが、以下の3点について回答させて頂きます。
(1)休眠会社の復活について
(2)会社の住所変更について
(3)「休眠会社復活」または「個人事業起業後に将来法人化」について
(1)休眠会社の復活について
a.休眠中の税務申告について
休眠状態でも登記上は会社が存続しています。すべての会社は法人税、住民税、事業税などが発生します。特に法人『住民税の均等割り』は、黒字、赤字、営業実態がある・なしに関わらず存在自体に税金がかかります。均等割額は、資本金等の額と従業者数によって定められ、お父様の会社ですと40万円程度かかると予想されます。
上記の均等割を免除できる方法として「休眠届け(※1)」があります。この「休眠届け」は管轄の税務署(※2)、県税事務所、市区町村役場に提出します。
※1 「休眠届け」という手続きや書類は法律上規定されているものではありません。 実務の中で非公式に行われています。
※2 均等割の免除は税務署には必要ありませんが、余計なトラブルを避けるために税務署にも出すのが一般的です。
ご質問内容に『H17頃に申告をしないまま休眠状態となった』とあるので『休眠の届出』を提出されていないと予想され、『均等割』の申告が必要になってくると思われます。
b.休眠中の役員改選について
碇谷先生も書かれているように、株式会社の場合、役員改選は休眠中も行わなければなりません。 お父様が作成した定款では「取締役2年、監査役4年」と任期を設定しており、H17年以降登記がされていませんので、会社法第915条第1項,第976条第1項第1号から『登記懈怠』となり、過料に処せられる可能性があります。過料の額は100万円以下の範囲で裁判所が決めます(会社法第976条第1項第1号等)が、実際は数万円程度で済んでいるのが実態のようです。
なお、「取締役」に関し、現在の新会社法では、取締役は1人でよく、更に非公開会社(株式の譲渡に制限をかける会社)の場合、取締役の任期は10年まで延長が可能です。
(2)会社の住所変更について
現在の登記住所「東京都西東京市」を「東京都練馬区」に変更する場合、『旧本店所在地の法務局の管轄区域外に本店を移転する』ケースにあたります。
この場合の費用は登録免許税 6万円(旧登記所分3万円、新登記所分3万円)になります。
(補足に続きます)
補足
(3)「休眠会社復活」または「個人事業起業後に将来法人化」について
様々な面を踏まえ、「現在休眠しているお父様の会社を復活させるか」、それとも「新たに個人事業で起業し将来的に法人化するか」は非常に難しい問題です。「販売契約」「継続性」「ビジネスに活用できる資産」等のお父様が築いてきた資源を活用できる一方、相応の資本金の用意の必要性、会社を継続するための費用支出等、会社継続には一長一短があります。
ただ、費用面以外に「お父様の事業を継ぎたい気持ちがある」「のれんに価値がある」「会社の歴史自体に意味がある」等の点から会社継続の意義もあります。
以上のような多角的な観点から会社を復活させるか、個人で事業を新たに始めるかをご検討された方がよいかと思います。
また、新しく事業を始める場合、「個人事業から将来法人化」もありますが、「初めから新法人(会社)設立」という手もあります。ご参考までに「個人事業」と「会社設立」について以下記載致します。
【個人事業】
・手軽にできる
・すぐに始められる
・登記手続きもなし
・資本金も必要なし
【法人事業】
・登記などの手続きが必要
・節税効果がある
・社会的信用度が高い
一概には言えませんが、様々点を比較すると、法人を設立して開業した方が一般的にはメリットが多いので、特に費用面では、節税効果等から法人化した方がよいでしょう。
次に、会社設立を考える際の会社形態の比較です。ここでは、株式会社、合同会社(日本版LLC)、
有限責任事業組合(日本版LLP)の3形態について比較します。
株式会社 合同会社 有限責任事業組合
定款貼付用収入印紙代 4万円 4万円 不要
公証人の定款認証手数料 5万円 不要 不要
登記手数料(登録免許税) 15万円 6万円 6万円
合 計 約24~25万円 約10~11万円 約6~7万円
合同会社や有限責任事業組合は組織化が簡単かつ自由にスピード感ある経営が可能です。但し、有限責任事業組合は株式会社に組織変更できませんので注意が必要です。将来的に考えると合同会社で設立した方が良いかもしれません。
以上になります。
ayaka-83さんのご成功を心よりお祈りしております。
回答専門家

- 小松 和弘
- (東京都 / 経営コンサルタント)
- ホットネット株式会社 代表取締役
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碇谷 賢祐
行政書士
7
個人事業主か新会社設立の方が無難でしょう。
ayaka-83様
はじめまして。行政書士の碇谷(いかりや)と申します。
休眠会社の復活とのことですが、大きく税務と法務に分けて以下にご説明します。
まず税務について。
休眠状態の会社であっても、原則として税務申告が必要になります。お父様の会社は恐らくH17年以降これを行っていなかったようですから、この期間分をまとめて申告する必要がでてくると思われます。とはいっても、実際には活動していなかったわけですから、税務署に相談しながらであればコストを掛けずにご自分でも手続き可能かもしれません。
次に法務について。
登記簿上会社が存続している以上、休眠会社であっても役員の重任登記(役員任期の更新手続きのこと)は必要です。お父様の会社が役員任期を何年に設定していたか定かではありませんが、休眠期間中の重任登記もまとめて行うことになります(登録免許税は資本金が1億円以内であれば1万円ですが、手続きを怠っていた期間について過料を請求される可能性はあります)。また、専門家に依頼すると当然そのコストもかかります(おそらく数万から10万円以内)。
さらに、会社住所を変更したいとのことですが、現在会社住所を置いている法務局の同一管轄内での移転であれば登録免許税が3万円、他の管轄への移転であれば6万円がかかります。更に専門家に依頼する場合のコストが数万から10万円以内と思われます。ただ、上記の役員重任登記とセットで依頼すれば報酬総額10万円以内で済むのが相場ではないでしょうか。
ざっと思いつくところでご説明しても以上のような形になりますので、コストと手間を考えれば個人事業か新会社を設立した方が無難かもしれませんね。新会社を設立するのであれば、お一人とのことですので合同会社がコスト面でいいかもしれません。株式会社と比べても法定費用で約14万円は節約できます。
長くなりましたが、是非ご検討してみて下さい!!

柴崎 角人
行政書士
1
何が目的かによって・・・
ayaka-83様、はじめまして行政書士の柴崎と申します。
私もよっぽど理由がなければ、前出の先生のおっしゃる方向かなあ、と思います。
要するに、お父様の会社を使う意味は何か、ということです。
実際に「こういうケース」を利用するビジネスのやり方があるのも事実ですから。
以上、ご検討の一助になれば幸いです。
評価・お礼

ayaka-83さん
2012/01/11 20:10柴咲角人様
平成21年度に父の会社名義で私が結んだある販売契約があり、今回は
その販売契約を活かした形で事業をスタートさせたいと思っています。
また、法人登記したのが1999年でそれから現在まで「継続性」を活かしたいこと。
ハンコ、銀行口座その他のビジネスに必要なものを活用したいこと。
父は資本金1000万で登記したのですが、新たに会社設立となると信用形成のために相応の資本金を用意する必要があると思いますが、その資本金が手元にないこと。
以上が理由となります。
(現在のポイント:4pt)
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