対象:労働問題・仕事の法律
放射線機器を扱っています。業務開始時間(8:30)前に始業点検を行っています。後輩に指導したところ、「始業前点検は時間外労働として取り扱ってくれますか?取り扱っていただけないのなら8:30から点検を行い、その後通常業務を行わせてほしい」と言われました。
始業前点検は「業務」を安全・確実に行うためのものであり「業務」ではないので時間外労働とは言えないと思うのですが…
また8:30から「業務」が開始されるのですからその「前」に点検を済ませておくのは当然だと思うのですが…
始業前点検は「時間外労働である」または「時間外労働ではなく業務開始前に行うものである」といった法的根拠みたいなものはありますか?
ishimochiさん ( 静岡県 / 男性 / 44歳 )
回答:1件

渡邉 勝行
社会保険労務士
-
労働時間について
ishimochiさん、こんにちは。
特定社会保険労務士・行政書士の渡邉勝行といいます。
さて、ご質問の件ですが、労働時間に該当するものと思われます。ご質問の流れで回答すると、「時間外労働である」となると思われます。
条文に規定はありませんが、最高裁判所では、次のように判断しています。
「労働基準法32条の労働時間(以下「労働基準法上の労働時間」という。)とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい、右の労働時間に該当するか否かは、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより客観的に定まるものであって、労働契約、就業規則、労働協約等の定めのいかんにより決定されるべきものではないと解するのが相当である。そして、労働者が、就業を命じられた業務の準備行為等を事業所内において行うことを使用者から義務付けられ、又はこれを余儀なくされたときは、当該行為を所定労働時間外において行うものとされている場合であっても、当該行為は、特段の事情のない限り、使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができ、当該行為に要した時間は、それが社会通念上必要と認められるものである限り、労働基準法上の労働時間に該当すると解される。」
ご質問の場合も上記の最高裁判所の判断とほぼ同旨の内容と思われます。
下記に参考となるサイト、最高裁判所の裁判例をご紹介させていただきます。
(参考)
独立行政法人労働政策研究・研修機構
http://www.jil.go.jp/kikaku-qa/jikan/K02.html
労働安全情報センター
http://labor.tank.jp/db_hanrei/index.php?pg=search_disp&get=237
三菱重工業長崎造船所事件(最高裁判所第一小法廷、平成12年3月9日)
(事件番号)平成7年(オ)第2029号。(掲載文献)最高裁判所民事判例集54巻3号801頁、判例時報1709号122頁、判例タイムズ1029号161頁、労働判例778号11頁。
以上、ishimochiさんのご参考になれば幸いです。
(現在のポイント:-pt)
このQ&Aに類似したQ&A
表示中のコンテンツに関連する専門家サービスランキング