対象:子供のお稽古
回答:4件
幼児の英語学習への隠れた「悪影響」
日本語環境で育つ日本の幼児への英語習得に効果がないことが科学的にも明らかになってきています。
残念ながら、「悪影響」については研究がなされていないようなので結論づけることは出来ませんが、「効果がない」可能性が非常に高いのなら、「幼児の英語教育」はまったく必要ないのではないでしょうか。
また、隠れた「悪影響」も最新の研究で報告されています。
科学的根拠-1
大澤眞知子のコラム「うちの子バイリンガルにしたいんですけど」にも詳しく書きました。
一ヶ国語環境で育つ幼児の脳は、外国語教育に対してまだ反応することが出来ません。
(Klass, P. 2011)
本来ならたっぷりと自由時間があり、脳本来の正常な発達を促す幼児期に、わざわざ役に立たない英語教育をする必要はないと考えます。
英語を習っている時間は、脳が本来持つ好奇心を伸ばすことが出来なくなりますからね。
科学的根拠-2
バイリンガル(2ヶ国語)の環境で育つ子供には、悪影響もあることが科学的に報告されています。
Semilingualism と呼ばれ、どちらの言語も中途半端な能力しかない状態です。
移民の子供、或いは幼児期に母国語環境を離れ、他言語を使うことを余儀なくされたケースが多いです。(Stroud, C. 2004)
英語教育の方法次第では、このような影響が出ないとは否定出来ません。
科学的根拠-3
2ヶ国語以上の言語で育つ幼児・子供は必ずしも正確な発音を身につけるとは限らないという研究結果が発表されました。
ひとつの言語が他の言語の発声に影響を与えてしまい、2ヶ国語とも正確ではない発音(アクセントと呼ばれます)を覚えてしまうそうです。
またその一度脳が覚えたアクセントはまず矯正することは一生を通じて難しいかも・・とけリサーチャーは述べています。(Grosjean, F. 2011)
単なるエピソード(まったく2ヶ国語どちらも大丈夫な子供を知っています、のような個々の実例)からは、判断出来ません。 それら子供を取り巻く環境要因はすべて異なるからです。
そのような環境要因をコントロール(同じにする)して研究するのが科学的リサーチです。
それら結果が物語る「幼児の英語教育」の意味のなさ、また隠れた「悪影響」は否定出来ないと思います。
回答専門家

- 大澤 眞知子
- (クリティカルシンキング/バイリンガル教育)
- Super World Club 代表
Be Bilingual
カナダ在住。カナダからオンライン講座カナダクラブ提供。留学生へのアカデミックサポート(エッセイ指導)留学希望生へのアカデミック準備 (Reading, writing, エッセイ基本)Critical Thinking指導、最新の理論に基づくBilingual Education特別提供中。
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廣島 大三
研修講師
2
やり方、環境、その子の性格がキーワード
母国語の修得に重要な期間である0~3歳の時期に、英語教育を導入する場合は、多少の混乱が生じます。とは言っても、多くの場合、単語レベルにおいて、日本語と英語を混同して話してしまう程度です。
これは、その後(3歳以降)、コミュニケーション力が上がり、また認知発達においても、日本語と英語の区別を意識的につけられるようになるので、それほど問題視する必要は、ありません。
ただし、乳幼児期は、子どもの人格形成において、とても重要です。ですから、他の子どもに通じないくらい英単語が幅をきかせてしまっては、コミュニケーション上の問題が生じますし、それは、その子の人格形成にも影響します。また、おとなしい性格の子どもの場合、会話の中に英語が混じってしまうことをからかわれたりすると、コミュニケーションを怖がるようになってしまうこともあります。
母国語の観点の話をすれば、母国語と言うのは、その言語の背景にある文化を受け入れることであり、それがその子のアイデンティティの根っこにつながります。簡単に言えば「何人なの?」という問いに対して、自信を持って「日本人です!」と言えるのは、母国語が日本語であり、日本文化の基に成長してきたからです。ですから、「日本語」という母国語の軸を立ててあげることがまずは重要です。
これについては、以前にブログで「日本の子ども英語教育について」というコラムを書いておりますので、そちらも、ご参考いただけるかもしれません。
http://www.naik.jp/column/2010/04/post-41.html
つまり、幼児期に英語教育を導入する際は、その子の年齢や性格などを考えて母国語とは線を引いた第二言語として、無理のない程度で取り組むのがよいと思います。「英語も日本語と同じレベルを求める」というよりも、日本語が母国語で、自然に心地よく操れる言語、英語は、第二のコミュニケーションツール、という学び方をするのが、子どもにとっては、自然だと思います。
それでも、幼児期から英語教育に取り組んで、英語が好き、英語が楽しいという原体験を幼少期に持てた子どもは、その後の英語学習において、存分にそのスキルをあげることができます。

山中 昇
英語講師
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受講者の実際例を見て、心配不要と思います
私は、英検1級合格を目指す上級者のサポートをしています(スカイプを使って北海道から九州まで受講生あり)
最年少は中学2年生、最高齢は62歳です
中学2年の女生徒は中学1年で英検1級に合格し、その後もさらに上を目指してレッスンを続けています
彼女は5歳のころからネイティブについて英会話を習っていたそうですが、留学や海外滞在経験はありません
日本語も驚くほど高度です
私は、彼女を指導し始めてから従来の考え方を変えました
それまでは、母国語が固まる前に外国語を習得するとどちらもいい加減になると信じていたのですが、それが、根拠のない神話だと実体験しました
私が知っている英語の達人は例外なく日本語の達人です
どちらかがおろそかになるものではないと私は実際例から判断しています
補足
ディクテーションを使ったリスニングと、リーディング・リスニングの学習の相乗効果で飛躍的な英語力向上を図るレッスンに興味があれば下記のホームページを覗いてください
北海道から九州までたくさんの仲間が集まってしのぎを削っています
hf9n-ymnk@asahi-net.or.jp
http://www.eiken1kyu.com

石田 さおり
英語講師
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全く問題ないです。
英語の学習の頻度や日常使う言語の割合にも寄りますが、国内で生活している限りは日本語習得についてご心配されなくても大丈夫でしょう。
ただ、お母さんが英語だけで話し、お父さんが日本語だけで話しかけるというような状況の場合、ほかの子供よりも発話が少し遅くなるということはあり得ると思います。
実際、そういう状況の知り合いの子供さんは話し始めるのは多少ほかの赤ちゃんよりも遅かったのですが、すぐに達者に2言語を使い分けています。
もっとも、発話についての時期も子供によってそれぞれなのでそれほど気にすることはありません。
大人になってからの日本語のボキャブラリー、それはその後、本好きの人間に育つか、お勉強が好きか嫌いか、などによって異なるのであって、幼児期に英語の勉強をさせたからということではないでしょう。
幼児であっても、大人であっても、どの年齢からも英語をはじめとした他言語の学習はとても楽しく、教養につながります。
ぜひご自身も一緒に学習を始めてみてくださいね。
(現在のポイント:4pt)
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