対象:住宅設計・構造
こんにちは。
現在、住宅の新築を検討中の者です。北東北在住です。
先日、ある住宅メーカーの強い進めもあり、モデルハウスへの体験宿泊をしてきました。全国的にそこそこ名の売れているメーカーで、外張断熱・オール電化の24時間蓄熱暖房でした。20年以上前に建築された集合住宅の4階に住んでいる私達(夫婦・子供0歳)にとっては、体験しなくても「快適」に決まっている、と思っていました。
しかし、いざ泊まってみると、子供は過乾燥のせいかノドが乾くらしく、しきりにミルクを欲しがって寝られず、私達もノドが乾くやら寝苦しいやらで、どうしようもなく夜中にモデルハウスから逃げ帰りました。その後、全員が風邪を引いてしまいました。モデルハウスなので、通常の生活状態より乾燥はしているのでしょうけど、それにしても予想以上に乾燥は辛いものでした。ハウスメーカーさんの話だと、モデルハウスは湿度30%程度で、生活すると40%前後になるということでした。
あと、慣れもあるのだとは思いますが、何ともいえない「無機質?」な感じもあり、このような家に住みたいとは思えませんでした。最初は、間取りもよく、内装も清潔感があり、不満はありませんでした。
今回のハウスメーカーに限らず、現在の主流となっている高気密高断熱の住宅は、今頃の季節だとほとんどは同様の状態だと思います。結露やカビの発生を無くし、長持ちする健全な住環境を整えるためには必要なことだとは思います。
でも、お金をかけて高気密高断熱にし、更に過乾燥対策で加湿器を何台も設置しなければならないような状況というのはどうなんだろう?何かおかしくはないだろうか?と悩みはじめてしまいました。
このような疑問を持ちはじめてしまった、当方へ何かアドバイスをいただけないでしょうか。非常に漠然とした質問で恐縮ではありますが、どのような視点からでも結構ですのでよろしくお願いします。
shinpeiさん ( 秋田県 / 男性 / 45歳 )
回答:5件
高気密高断熱の家にもいろいろありますよ
大変な経験をされたようで心中お察しします。
また、高気密高断熱の家に対するインパクトも相当強かったことと思います。
私からお伝え出来るのは「高気密高断熱の家にも色々ある」ということと「昔ながらの気密性の低い家も気候風土や住われる方々の年齢や体質によっては十分あり」ということです。
ですので、shinpeiさんが書かれているように、疑問をもたれることも自然だと思います。
ただ、高気密高断熱の家でも、自然と調湿作用があり、今の季節でも50%程度を保つ家づくりは可能です。私の事務所で設計している家づくりはそれをベースにしています。
例えば、内部に無垢の木をふんだんに使ったり、壁に天然の土壁や呼吸する壁紙を使ったりするなどがその一例です。湿度が、これくらいあると喉が乾くこともほとんどありません。
高気密高断熱の家でもご期待に応えることができる家づくりは、秋田県でも十分可能だと思いますよ。
また、昔ながらの家づくりも一概に駄目とは思いません。というのも、高気密高断熱で湿度調整がしっかりした快適な環境に住むと、家の外に出た時に、その落差で体調を崩す可能性もあるからです。
この辺りは悩ましいところです。ただ、高気密高断熱の家は真冬に起きる時には、寒い家に較べてストレスがほとんどなく起きることが出来たり、自然に湿度調整が出来る仕上げの屋内空間の場合は、インフルエンザなど家族内感染も起きにくくなるなどのメリットはあります。
良かったら上記の内容を参考にしてみてください。
ステキな家が出来ればいいですね!
八納啓造
評価・お礼

shinpeiさん
2011/03/13 22:40建築を考え始めた頃から、漠然と「風を感じられるような家」、「開放感のある家」が良いなと思ってました。しかし、現在の高気密高断熱住宅を知れば知るほど相反するものなのでは、と少々方向性を見失いかけ、そして追い打ちをかけるように先日の宿泊体験でした。
八納さんのアドバイスにもありますとおり、家が快適な分、体の適応能力が退化するのでは?など、自分自身で相反することをやろうとして、同道めぐりをしてしまっているように思います。この度いただいたアドバイスで、高気密高断熱でも私たちが求める住環境は造れるという希望が沸いてきました。
この度は誠にありがとうございました。
回答専門家

- 八納 啓造
- (建築家)
- 株式会社G proportion アーキテクツ 代表取締役
世界で一つ「あなただけの幸せな住まい」を共に造りませんか?
私たちの考える家作りの大きな目的は「家族の絆や幸せが育まれること」。そこでこれまで家作りに成功した人たちの「家作りの知恵」をベースに家族が共通の思いを持ち、向き合える住まいをご提案。家族の思いをカタチにします。
八納 啓造が提供する商品・サービス
答えは千差万別!判断は自分の 「感性」と「心の目」です。
こんにちは。パウダーイエローの稲垣史朗です。
shinpei さんのご質問に良い機会と思い私なりの考え方をお答え致します。
私自身はリフォームを専門にした「建築」や「デザイン業務」に従事して今年で37年を迎えておりますが、昔より甚だ「疑問点」が常に頭の中を過ぎっていました。
おっしゃる通り「快適」とは如何なるものか? 何が人間にとって快適な事なのか非常に分りにくいくくりですよね! 昔より感じていたことは「人間の奢り」に他なりません。
例えば、今では住宅の設備に当たり前のように「ペアガラス」や「三層ガラス」の窓が取り入れられていまが、本当に必要でしょうか?
外部の「雨音」や「風の音」も聞こえること無く四季折々の風情を感じること無く無味乾燥な生活を本当に快適と言えるでしょうか?
きっと、その様なモノ作りをしているメーカーの言い分としては「結露防止」が出来ると!結露は住宅にカビの発生の原因ですからと胸を張って答えられるでしょう。
また、都心に乱立する「高層ビル群」の乱立!
一般的に「先生」と言われている著名な建築家は本当に自然に対する「暴挙」としか言えません。
本心で心より大丈夫で安全と思って、その様な高層ビルを建てているのでしょうかね?
神から言わせれば「愚か物」としか言いようがありません。自然はそんなに甘くありませんよ!
そこまで人間は万物霊長の中で本当に一番偉い「特別な賢者」なのでしょうかね!?
世の中は大変「利便性優先」的な環境にある様ですが、もう少し世の中の「賢者」に対する「疑問視」を自分なりの「心の目」で見る必要性があると思いますね。
利便性の追求にこだわることにより「失う物の大切さ」に気が付かない様になりつつある現代人に警告を発する人が増えて来ることを切に願います。
評価・お礼

shinpeiさん
2011/03/13 22:52ご意見ありがとうございます。
稲垣さんのご意見も非常に意味深く読ませていただきました。
自分の中でも、せっかく立てるなら断熱性や遮音性がよく、周りの音などを気にせずに過ごせる家がいいと思う一方で、アドバイスにある「四季折々の風情を感じること無く無味乾燥な生活を本当に快適と言えるでしょうか?」と思う部分もあります。ここは、自分達で何を求めるのかで大きく違ってくるところだと思いますので、構造や設備などと言う前に、今一度、自分たちが求める「快適な住環境とは?」から考え直したいと思います。
この度は誠にありがとうございました。
回答専門家

- 稲垣 史朗
- (神奈川県 / 店舗インテリアデザイナー)
- パウダーイエロー 代表取締役 兼 チーフデザイナー
物販(アパレル系)と美容クリニックのデザインが得意。
店舗のデザインに特化したお悩みを相談してください。デザインから現場施工まで1000件以上の経験がございます。誰に、何を、どの様に、お店を開店したらよいのか?不安な点は全てご相談に承ります。
稲垣 史朗が提供する商品・サービス

志田 茂
建築家
5
断熱材を有効に働かせる家
志田茂建築設計事務所 志田です。
http://s-coco.net/
数字を挙げ、一般の住宅は、こんなにひどく、高気密高断熱の家は こんなにすごい という事を見せられると、誰だって数値のいいほうに行ってしまいます。ハウスメーカーは、そうゆう手法でお客を取り込みます。高気密高断熱に限らず、あらゆる「いい事」を使って。。
高気密高断熱を、あまりに数値的な事ばかりに注目して考える事には、疑問を持ってしまいます。
ただ、せっかく断熱材を入れても効果が高くない事にも、疑問がありました。
ある人から、「断熱材の効果を発揮させるには、断熱材の性能以前に すき間 をなくす事」という話を聞いて、くすぶっていた疑問が解けたように思いました。
すき間をなくす・・・という事は、、、 洋服にたとえると、ぶかぶかの洋服を着ていると空気が通ってスカスカしてしまうけれど、もうすこしぴったりした服ならそれがなくなり、温かくなります。手袋やマフラーをする事も、端部のすきまをなくす事でもあります。ダウンジャケットを着ると、より温かくなりますね。それが高気密高断熱という事です。
ダウンよりセーターが好きとか、綿が好き、といって、着るものを選ぶ事は自由です。それを断熱材と置き換えます。
何をえらんでもいいのですが、1枚、風(空気)を通しにくいもの着ると、温かさは格段に上ります。それが高気密です。
どんな服を着るか・・・
それを家で考えると、断熱と気密だけではなく、仕上げ材も含めての話です。
ハウスメーカーの仕上げ材は、基本的には工業製品です。ビニールクロスやしっかり塗装されたフロリングや、柄をプリントされたものを貼りつけられた建材など・・・。それらを使う事はコスト調整が容易だからです。ただ、それは高気密高断熱とは別の事。高気密という事関係なく、なんとなく密閉された感じを受けます。それらから発せられる臭いに苦しさを感じる人もいますし、心理的に落ち着かない人もいます。
shinpeiさんが「無機質?」と感じたのは、そうゆう事だと思います。ただ、それと高気密高断熱は別の話です。お住まいの地域を考えると、高気密高断熱 は必要な事だと思います。売るための道具としての高気密高断熱ではなく、人が快適に暮らすための高気密高断熱を考える設計者や会社はあります。そゆう人(会社)との出会いを求めてみてはいかがでしょ!
評価・お礼

shinpeiさん
2011/03/13 22:42ご意見ありがとうございます。
内装の仕上げ材でも随分変わるものなのですね。ほとんどの住宅メーカーさんで使用されている資材は、低ホルムアルデヒドのものばかりのようですが、それでも「何か」を感じ取って不快に感じてしまうことがあるのでしょうね。ただし、その感覚の部分をどう設計に反映させていくのかを考えると、相当な労力を要しそうです。
しかし、志田さんのアドバイスのとおり、それを叶えてくれる人(会社)と巡り会えるようにがんばりたいと思います。
この度は、断熱のわかりやすい説明を交え、有意義なアドバイスをいただき誠にありがとうございました。

島崎 義治
建築家
4
本当の住まいづくりを
とても深く本質的な問題です。共感を覚えます。
高気密高断熱化は
工業化住宅が社会に認知されるための避けられない方向ではないかと考えています。本来は「快適性」とは人間的な評価基準であるべきなのに、工業化による性能基準に置き換え、数値で評価し、視野の狭い快適性をつくりだしてしまったのです。
窓のサッシは風や音や熱を遮断することによって性能が評価されていますが、同時に外部との連続性を失ってしまいました。現在の高気密住宅の原因はそこにあります。
なにより、
モデルハウスで感じて来られた「過乾燥」や「無機質」は重要な視点です。
過乾燥なのは技術不足です。
人間にやさしい本当のシステムになっていないのだと思います。機械設備だけで行うには難しい面があり、基本的に夏や梅雨時は除湿、冬は加湿が必要となる場合が多いです。
しかし、
地下や土間や夜間の冷気を活用したり、あるいは冬には住まいの上にある暖気を下へと循環させたり、太陽光を取り込み床面に暖気を蓄熱することによって、より自然な住環境をつくることができます。また、輻射的な冷暖房を活用することも考えられます。それが本来のエコロジーであり、かつて日本の住まいが持っていた自然と協働するための住まいの仕組みでもありました。
無機質はハウスメーカーなど工業化住宅の避けられない性質です。
ハウスメーカーだけでなく、一般の住宅も多くは工業化製品を寄せ集め、取り付けるだけの住宅になっています。夥しい量の製品リストから表面的な好みから製品を選ぶだけの住宅づくりなのです。
どれだけ工業が先進化しようとも工夫と知恵がどの時代においても必要です。工業化住宅や工業製品だけに頼るのではなく、むしろ、私たちが重ねてきた技術を生かしながら人間性を忘れない住まいのあり方を実現させるべきだと思っています。
そして、そのための推進力とは何か。
それは「快適」や「エコ」という社会の言葉に騙されずに、何が無機的で、何が有機的か、何が本当に快適なのか、など本来の住まいのあり方を自分自身でキチンと感じることだと考えます。
shinpeiさんはその意識も能力も持っていらっしゃいます。
ぜひ、建築家と一緒に本当の住まいをつくってみませんか。
島崎義治建築設計事務所 http://architect-studio.com
評価・お礼

shinpeiさん
2011/03/13 22:44ご意見ありがとうございます。
島崎さんのおっしゃっているお話しは、まさに私が今ぶつかっている疑問です。というよりも、以前からうすうすそう感じていましたが、「高気密高断熱であればいいんだ」と自分に言い聞かせていたような気がします。
いただいたアドバイスにある「それは「快適」や「エコ」という社会の言葉に騙されずに、何が無機的で、何が有機的か、何が本当に快適なのか、など本来の住まいのあり方を自分自身でキチンと感じること」を胸に、もう一度整理していきたいと思います。
この度は誠にありがとうございました。

島崎 義治
2011/03/14 09:00共感をいただき、また評価をいただきありがとうございます。
私の方こそ大変豊かな質問をいただき感謝いたします。多くの皆様がこのQ&Aを見ていただけるといい社会になるのではないかと思うのですが・・・。
ぜひ、思いを実現させてください。
また、いつでもお気軽に質問してください。

東島 鋭
建築家
5
疑問をもつことがとても大切なことなのだと思います。
高気密高断熱住宅の主なメリットは3つあると思います。
・省エネ:冷暖房効率が上がる。
・住宅の高寿命化:壁内に隠れた構造部材が腐食するのを防ぐ。
・室内環境のコントロール:気温、湿度や換気経路の調整がしやすい。
今回のご経験から、高気密高断熱=過乾燥と位置づけられるのは無理もないと思います。ただ、室内の湿度は仕上材の調湿性に大きく左右されます。例えば木をふんだんに使った家では、夏場は湿気を抑えることができ冬場は過乾燥になるのを防ぐことが可能です。
無機質と感じられたのは、“真っ白な箱”が今の住宅の“主流”ですのでこのモデルハウスもそんな感じではなかったのではないかと想像できます。私たちは、色や形をはじめ、素材の質感や視線の広がりを含めた様々なものから影響を受け印象として意識しています。それは好き嫌いに留まらず心身の健康を左右するものでもあります。ですので特に小さなお子さんがいる家づくりは、機能性などのモノ重視ではなく人に焦点を常に当てておくことが肝心です。
『何かおかしくはないだろうか?と悩みはじめた』とのことですが、このように疑問をもつことがとてもとても大切なことなのだと思います。“一般的”“普通”“主流(流行)”として認識されていることの中には、人にとって本当にいいのかと疑問を持つことが多々あります。家族の数だけ住まい方も違っているのが自然だと思いますが、残念ながら誰のために建てられたのかわからない家が“一般的”であるのが現状です。“一般的”の中に身をおくことは、ある意味安心感を得ることができるように感じますが、裏を返せば自分で考えることを止めてしまうことだと思います。
今後もご自分が感じるものを大切にしながらご家族のために良い家づくりを進めていってください。
東島 鋭
評価・お礼

shinpeiさん
2011/03/13 22:45ご意見ありがとうございます。
非常に意味深く読ませていただきました。日ごろ、「一般的(常識)」にとらわれずに物事を考えるようにしているつもりではありますが、気づくと結局は「一般的」になっていることが多々あります。
東島さんのアドバイスにある「人に焦点を常に当てておく」ことを忘れずに、もう一度整理していきたいと思います。
この度は誠にありがとうございました。
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