職務発明の権利と退職後の実施について - 大平 和幸 - 専門家プロファイル

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職務発明の権利と退職後の実施について

2008/03/14 17:41

既に回答されていますが、私からも回答させていただきます。

まず、(1)についてですが、会社に特許を受ける権利を全て譲渡した場合、あなたにはもはやその発明について特許化する権利はありません。全て会社のものとなります。ですから、もし、会社がその特許を権利化し、維持する限り、会社側の実施許諾を受けないであなたが実施すると侵害行為となります。

つまり、会社としては特許権に基づいてあなたを訴え、その発明の実施を差止めたり、製品を廃棄させたり、損害賠償を請求できることになります。ただ、訴えるかどうかは会社側の裁量ですから、関係が良好であれば、黙認とか、交渉で特許権を譲り受けたり、ライセンスを受けることもありえます。


ただ、あなたが会社を辞めて、自分で事業化するということは、会社では事業化しないということなのでしょうか?そうであれば、会社は審査請求をしないで特許化しない可能性もあります。その場合は、あなたは自由に発明を実施することができます。

(1)について、譲渡契約を結ぶ時に、
回避できる手段はないのでしょうか?
例えば、実施権は発明者に与えられる等。

譲渡契約の際に、譲渡契約書に、「あなた自身が実施する場合、会社はあなたを訴えない」ということを明確に書いておけば会社が特許権を持っていても訴えられることはありません。これはある意味実施権を与えたのと同じことだからです。しかし、普通、職務発明を譲渡する際にこのような契約を交わすには相当難しい交渉が必要だと思います。交渉のプロも多い知財部員を相手にこのような交渉をして条件を飲ませるのは非常に難しいでしょう。

また、(2)の会社が実施した場合については、職務発明の対価がもらえます。会社が実施せず、かつ、特許化をしなかった場合は、あなたが実施をして事業収益を生むことができます。問題は、会社が実施せず、特許化し、その特許を防衛特許とした場合ですね。

回答専門家

大平 和幸
大平 和幸
( 神奈川県 / 弁理士 )
大平国際特許事務所 所長弁理士
090-4227-0184
※お電話の際は「"プロファイル"を見た」とお伝え下さい。

先端科学技術と知財活用の両方に精通した、農学博士の弁理士です

お客様の保有する知的財産を活用して事業を守り、競争優位を獲得できる知的財産戦略構築を行います。それに基づき戦略的に出願し、権利取得を行うことで有効な特許網(特許壁)を構築し、事業を独占することによりお客様の売上と利益の最大化に貢献します。

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この回答の相談

職務発明の権利について

法人・ビジネス 特許・商標・著作権 2008/03/10 18:19

2点質問があります。
職務発明で発明した内容を発明者が全ての権利を
会社に譲渡したとします。(特許出願報奨金2万円で)
その場合
(1)その発明を利用して、個人で起業した場合、元々所属していた会社に… [続きを読む]

kentさん (神奈川県/39歳/男性)

このQ&Aの回答

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職務発明について 河野 英仁(弁理士) 2008/03/10 23:01
回避する手段は? 2008/03/11 15:24

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