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会社があおる「危機感」と社員が求める「安定感」のずれ

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社員にやる気を出させるヒントになるエピソード集 私の思い・考え

 少し前のことですが、「黒字なのに2割クビは納得できるか」というウェブ記事を見ました。

 日本の大手企業のリストラがじわじわ増えており、しかもそれが好業績の企業であっても、利益が出ているうちに不採算部門を整理するなど、リストラに躊躇しなくなっているのだそうです。

 最近は全体的な人手不足傾向から、リストラの話題が前面に出ることは少ないですが、水面下ではこういう動きが続いていることを耳にします。

 

 この記事によれば、景気に関係なくリストラが恒常化すれば、会社業績に関わらず、低評価の社員は常にリストラ候補と見られるようになるので、貢献度が低いままで会社にとどまることはできなくなっていくだろうという話でした。

 

 働く人にプロフェッショナル意識が求められ、仕事の結果が自分に降りかかっているというのは当たり前のことだと思いますが、どんな人でもこれからはさらに「危機感」を持って仕事に取り組んでいく必要があるということでしょう。

 

 その一方で、組織に属して働くことには、このリスクを避けて身分を安定させるという目的もあります。組織内の分業によってお互いがサポートし合い、一人ではこなしきれないような大きな仕事に取り組むことができます。成功の報酬はみんなで分け合い、失敗の損失もみんなで少しずつ分担し合うという「保険」のような面もあるはずです。

 

 特に日本企業では、社員と長期的な雇用を約束するかわりに、処遇面などの長期的な貸し借りをすることでバランスを保ってきました。終身雇用も年功序列もS字型の賃金カーブも、みんなこの貸し借りが前提の仕組みです。

 「安定感」というメリットがあるおかげで、みんな組織への帰属意識を高め、多少不本意な仕事でも一生懸命に取り組むのだと思います。

 若いうちは給料が安いのに頑張るのも、働かないオジサンがいるのも、「今をガマンすれば・・・」「今までガマンしたから・・・」という貸し借りがあることに一因があるでしょう。

 

 しかし、環境の厳しさも不透明感も増している昨今、会社はそんなに先のことまで約束する余裕がなくなっています。できるだけ貸し借りは少なくしようというのが今の流れということです。

 一方、社員の立場からすれば、「今までさんざん会社に貢献してきた」という考え方をはじめとして、会社に対してまだ貸しがあるという認識があるように思います。

 このお互いの認識の違いから、いろいろな所で不整合が起こってきているのでしょう。

 

 私がいろいろな企業の現場を見ている中でも、「危機感が足りない」「役割を果たしていない」と言われても仕方がない社員を見かけることは確かにあります。自分のキャリアを人任せにするなと思うことは多々あります。

 

 ただ、会社側から「危機感」を持てと社員を鼓舞する声はたくさん出てくるものの、今まで「安定感」を担保にして、社員に借りを作ってきたという話はほとんど出て来ません。

 会社からすれば「もう十分に借りは返した」と思っているのかもしれませんが、社員からすると「今までの貸しを踏み倒された」と思っているかもしれません。

 

 「危機感」と「安定感」に、適切なバランスがあるのかどうかは、今一つはっきりわかりません。

 「危機感」が足りず、甘えて会社にしがみついているような社員も残念ながらいるでしょう。ただ、「安定感」を約束する代わりに、会社が社員に無理を強いてきた部分もあります。会社に依存する人を作り出した責任の一端は、会社側にもあります。

 

 「危機感」と「安定感」のバランスを見直すことは必要ですが、雇用関係の転換を図っていこうとするならば、貸し借りが前提だったこれまでの経緯も、もう少し考える責任があるのではないかと思います。

 

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