課題の「起死回生」を望むことで遠ざかってしまう解決
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私たちのように、企業を支援するコンサルタントの役割というのは、企業が持っている何らかのテーマ、問題、課題に対して、客観性と専門性を持って解決するということです。
課題が何もないという企業は、世の中にはたぶんないでしょうから、そう考えれば存在しているすべての企業が、ご支援の対象になる可能性があるということです。
そんな訳ですから、企業から頂くご相談や仕事の引き合い、ご要望というのは、実際に対応させて頂くか否かに関わらず、いろいろなお話をうかがいます。
私の専門は組織、人事なので、人に関わる何らかの課題になりますが、その中身を大きく分けると、「終わりの見える課題」と「終わりの見えない課題」の二つがあります。
「終わりの見える課題」は文字通りゴールがはっきり見える課題で、定型的な生産物作り、スポットで行う研修などはこちらにあたるでしょう。
一方で「終わりの見えない課題」というのは、継続的にPDCAを回していかなければ、解決に向かっていかないような課題です。実際にはこちらの方が圧倒的に多く、人事制度構築のような一見すると前者にあたりそうなものも、運用と制度見直しのPDCAを回しながら継続していくことが必須になりますので、実はこちらにあたります。
ただ、お話をいただく会社の中には、発生している課題が「終わりの見えない課題」にもかかわらず、それを「終わりの見える課題」のように捉えていると感じることがあります。
要は、社外の専門家を入れて何かしらの取り組みをすれば、それまでの課題がきれいさっぱり解決するだろうというような、まさに起死回生の一発逆転を望んでいるような印象です。
もちろん、そのようにできることが一番ですし、そのあたりはコンサルタントの力量次第ともいえますが、「終わりの見えない課題」というのは、その会社の歴史とともに、なかなか解決できないまま積み上がってきた課題であることがほとんどです。場合によっては十数年来の課題などということもあり、いくら社外の専門家が入ったからといって、一筋縄でいくものではありません。
にもかかわらず、すでに我々が答えを持っているかのように考えていて、その答えだけを要求するような会社があります。こういう会社の方々は、今抱えている課題が「終わりの見えない課題」であるということを、あまり受け入れて頂けません。起死回生がある前提で、「何か方法があるでしょう!」と言われてしまいます。
「終わりの見える課題」であれば、すでにある答えを知ることで良いでしょうが、「終わりの見えない課題」では、いくら専門家といっても、その会社の事情をよくうかがい、その会社の方々と一緒に解決策を作り出していく必要があります。ほとんどの場合で起死回生も一発逆転もありません。
「起死回生」を望んでしまっては、課題の解決が逆に遠ざかってしまうように感じます。
このコラムの執筆専門家
- 小笠原 隆夫
- (東京都 / 経営コンサルタント)
- ユニティ・サポート 代表
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