(続き)・・「栄養療法」も重要なCAM(補完・代替医療)の一つとなっています。ガン細胞は糖質を主なエネルギー源としており、ガン組織は盛んにタンパク質や脂質を糖質に変換し消費しています。これを「糖新生」と呼んでおり、ガン患者は著しいタンパク質不足に陥りがちです。そのために全身の筋肉が痩せ落ち、赤血球が減少してひどい貧血になってしまいます。ガンが進むと極端に痩せて、顔色が青白くなるのはそのためです。
またガン患者は各種ビタミンやミネラル、抗酸化物質などがたいへん欠乏しやすくなります。上記のタンパク質の代謝などによって消費されるほか、持続的な食欲不振に陥るためです。そこで各種ビタミンやミネラル、抗酸化物質、アミノ酸などを、食事の他に適切なサプリメントによって補う方法が米国を中心に普及してきています。我が国でも一部のクリニックで「栄養療法」がガン治療の主流の一つとなっています。
ガンに対して有効なサプリメントはいくつもありますが、代表格の一つとして「ノニ」があります。ノニは南洋方面で自生しているアカネ科の植物の果実ですが、特にタヒチ産のノニにはイリドイドを始めとする抗ガン効果の優れた成分が豊富に含まれています。米国の著名な病院であるジョンホプキンス大学病院では、1500人余りのガン患者にタヒチ産ノニを投与し、67%に有効であったと報告されました。
ガン患者ではビタミンCがたいへん欠乏しており、またガン細胞がビタミンCに弱いという性質を利用し、大量のビタミンCを点滴で体内に注入するという治療法が米国を中心に普及し、日本に於いても多くのクリニックが取り組んでいます。通常のビタミンCの必要量は1日で100~500mg程度ですが、50gから100gもの多量のビタミンCを点滴で注入します。これを「高濃度ビタミンC点滴療法」と呼びます。
ビタミンCは通常量では抗酸化作用を示しますが、多量になるとガンに対して「酸化作用」をもたらします。多量のビタミンCがガン組織近くに来ると過酸化水素を大量発生させ、これがガン細胞を殺傷します。この一方で正常細胞には何の害も与えません。正常細胞には過酸化水素を分解して水と酸素に変えるカタラーゼなどの酵素がありますが、ガン細胞はこの酵素を持ち合わせていないからです。
この過酸化水素に対する正常細胞とガン細胞の抵抗力の差を利用したのが高濃度ビタミンC点滴療法です。この治療法には副作用が全くなく、ガンへの縮小効果とともに痛みや吐き気などの症状を緩和する効果も優れています。高濃度ビタミンC点滴療法は抗がん剤や放射線治療などの通常療法、それに上述の深部加温療法やラドン浴療法、免疫療法などとの併用によって、素晴らしい成果を挙げています。
このコラムの執筆専門家
- 吉野 真人
- (東京都 / 医師)
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