- 菅原 茂夫
- 菅原茂夫税理士事務所 代表
- 東京都
- 税理士
対象:税務・確定申告
- 平 仁
- (税理士)
通常、親会社が赤字子会社の損失補てんしようとすると、一定の要件を満たさない限り、原則として「寄附金」として取り扱われます。
しかし、プロ野球に関してはその例外としての取り決めがあるのです。
法人税個別通達に「職業野球団に対して支出した広告宣伝費等の取扱いについて」というものがあります。
プロ野球チームが「職業野球団」というところも時代を感じさせますね。
この通達は昭和29年に制定されたものなので、そもそも親会社が「映画、新聞、地方鉄道等の事業を営む法人」と規定されています。
まあ、「等」とあることから現在でも十分適用されるものなのでしょうが、そこにはこのように規定されています。
1.親会社が、各事業年度において球団に対して支出した金銭のうち、広告宣伝費の性質を有すると認められる部分の金銭は、これを支出した事業年度の損金に算入するものとすること
まあ、これは別に良いですよね。驚くべきなのはこの次です。
2.親会社が、球団の当該事業年度について生じた欠損金を補てんするため支出した金銭は、球団の当該事業年度において生じた欠損金を限度として、当分のうち特に弊害のない限り、1.の「広告宣伝費の性質を有するもの」として取り扱うものとすること
つまり、プロ野球チームの欠損金(赤字)を補てんするために、親会社が支出した金銭は広告宣伝費等として費用処理して構わないということです。
この通達が制定されたいきさつは知りようがありませんが、一部の人気球団を除き、多くのプロ野球チームが赤字垂れ流しだった原因の一つと言えるでしょう。
最近では球団側も経営努力を行い、自力で黒字経営化している所もありますが、放漫経営の原因の一つであったことは間違いありません。
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