●模型を造ろう
他人に自分の意思を伝える手段として、設計図書はあります。しかし、設計図書は正確に伝える事を目的にしているあまり、専門家にしか描く事が出来ません。もっと簡単に意思を伝える方法として建築模型があります。
設計図書で最も難しいのは、スケール感です。スケール感をしっかり養っていないと漫画になってしまいます。漫画はスケール感の無さを逆手に取って奇想天外なストーリーを進展させます。ドラえもんの四次元ポケットがその代表です。実際の家造りでは四次元ポケットは存在しませんので、スケール感を養う為に、専門の学校へ行って勉強して建築士になるのです。
自分の家を造るだけなら、もっと簡単な方法があります。それが模型です。
まず初めに、人の模型を造ります。人の形をしていなくても抽象的なものでも構いません。3cmの高さの人形を1.5mの高さに想定すると、そこに1/50スケールの世界が出現します。その人形を1/50スケールの間取り図の上において壁を造ります。ダンボールでもバルサ材でも材料は手近なもので構いません。壁の高さは天井までの高さで構いません。天井までは2.4mが一般的ですので1/50だと4.8cmになります。壁で間仕切る前に出入り口とか窓とかを、くり貫いておくとよりリアルです。人よりも机やタンスの方が簡単に造れますので、出来た模型に家具を配置していきます。上からポンと置くのではなく、玄関から家具を入れていくと引越しのシュミレーションにもなります。
模型にすると、平面では発見出来なかった問題点や作図的な矛盾点も見つかります。窓の高さや位置、吹き抜けや階段の上下階の関係、と云った想像出来難い問題も一目瞭然となります。
家族や業者の方に自分の意思を伝えるならば、模型が最も効果的です。間取り図を正確に描けていれば、模型はちゃんとしたカタチになります。人形を部屋の中を歩かせてみて、狭くないか、広すぎないか確認してみましょう。
このコラムの執筆専門家
- 福味 健治
- (大阪府 / 建築家)
- 岡田一級建築士事務所
木造住宅が得意な建築家。
建築基準法だけでは、家の健全性は担保されません。木造住宅は伝統的に勘や経験で建てらていますが、昨今の地震被害は構造計算を無視している事が大きく影響しています。弊社は木造住宅も構造計算を行って設計しています。免震住宅も手掛けています。
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