(続き)・・腸内環境を整えるにはこのように「自然な植物」の豊富な、全粒穀物を活用した食生活がお勧めですが、一日の中でどのようなタイミングで食べていけば良いのでしょうか。例えば朝食はしっかりご飯を食べた方が良い、などと言われていますが、腸に優しい食生活を念頭に置いた場合、それは本当に正しいのでしょうか。実は朝や午前に何を食べるかによって、腸内環境に大きな差が出てしまうのです。
腸には食物を「入れる」ことも大切ですが、「出す」ことも同じように大切です。食物が消化されずに腸内に滞留した状態が他ならぬ便秘であり、あらゆる病気や体調不良につながりますが、効率よく消化、吸収し排便していくには、朝から午前にかけての過ごし方がとても重要です。朝はたっぷりの水を飲み、午前中は果物を中心とした軽い食事に留めておく方が、腸内での消化や排便はスムーズにいきます。
正午から午後8時頃までは消化力がピークに達しているため、様々な食材を食べることができます。野菜や豆、海藻類など「植物」を中心とし、全粒穀物を適量食べ、魚や肉なども過量にならない程度に食べます。ちょうど昔の日本人が食べた、玄米と野菜、豆類、味噌汁、魚などなどで構成された伝統的な「和食」をイメージすると良いでしょう。このような和食は、米国の政府や医師会などでもヘルシーだと評価されています。
午後8時を過ぎた深夜には、あまり食事を摂らない方がお勧めです。深夜には消化、吸収する能力が急速に低下するためです。空腹を感じたら果物かフレッシュな野菜ジュース、野菜スープなどに留めておいた方が無難です。深夜に限らず、菓子類や菓子パン、スナック類、インスタント食品、レトルト食品、冷凍食品、アルコール類などは、可能な限り控えることが大切です。
野菜や果物などと並んで「微生物」も活用しましょう。腸内細菌を活性化するには乳酸菌やビフィズス菌、納豆菌など善玉菌を用いた食品を食べることが有用です。具体的には漬物類やキムチ、納豆、ヨーグルトなどです。ヨーグルトは乳製品のため体質次第の面がありますが、漬物と納豆は日本人が昔から食べてきたものなので安心です。また乳酸菌を凝縮したサプリメントを摂取するのも有効な方法です。
一方で腸をいたわるために体を温めましょう。特に腹部は冷やさないことが大切です。腹部が温かいと腸内細菌が活性化し、免疫力や代謝も向上します。冷たい飲み物は控え、温めの半身浴にゆったりと浸かりましょう。また腸の鍛錬も兼ねて、適度な運動をすることも重要です。体を動かすことによって腸の蠕動運動も活発になり、健全な消化と吸収、排便が促進され、ひいては病気の予防と健康増進につながるのです。
このコラムの執筆専門家

- 吉野 真人
- (東京都 / 医師)
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病気を治したり予防するにあたり、いちばん大切なのは、ご本人の自然治癒力です。メンタルヘルスを軸に、食生活の改善、体温の維持・細胞活性化などのアプローチを複合的に組み合わせて自然治癒力を向上させ、心と身体の両方の健康状態を回復へと導きます。
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