- 市山 智
- 司法書士・行政書士いちやま法務事務所 代表
- 千葉県
- 司法書士
対象:会社設立
一言で「会社」といっても、会社形態として最もメジャーな「株式会社」のほかに、法律上さまざまな会社形態があります。
そこで、最もメジャーな「株式会社」から最近注目されている「NPO法人」まで、起業としてどのようなカタチがあるかを簡単に説明します。
まず、起業にあたって会社を作ろうという方のほとんどは、株式会社か合同会社を選択されます。
1. 株式会社
株式会社は、株主が出資して設立し、その株主は出資した限度でのみ責任を負う組織です。
これまでは中規模以上の会社は株式会社を、小規模の会社は有限会社を選ぶ傾向がありましたが、会社法改正により、実質的に株式会社と有限会社が統合されたため、1人で設立するような小規模の会社でも株式会社を選択する傾向が強くなっています。
営利性があれば、どのような事業でも向いています。
2.合同会社
合同会社は、出資者全員が既に出資した出資額を限度でのみ責任を負う組織です。
会社の定款を自由に決めることができるので、少人数での起業などに向いています。
・設立費用が株式会社より安い
・内部の機関や利益配分を自由に決められる
・第三者からの乗っ取りや株主の意向に気を遣わなくて済む
・役員の任期期間がない
などのメリットがあります。
会社法で規定されているその他の会社には、合名会社や合資会社がありますが、これらはあまり一般的ではなく、特殊な事業等で主に利用されます。
3.合名会社
合名会社は、会社債権者に対して直接かつ連帯無限の責任を負う組織です。
社員の責任が重い反面、:資本金の規定なし。設立手続きも簡易です。
出資は金銭に限らず、労務や信用でも可能です。
例えば、家族での小規模な経営や清酒や、酒造会社でよく利用されています。
4.合資会社
合資会社は、出資額を限度として責任を負う有限責任社員と債権者に対して直接の責任を負う無限責任社員からなる組織です。
合名会社と同様、無限責任社員についてはその責任が重いですが、設立手続は簡単です。
例えば、ネットワーク事業や酒造会社でよく利用されています。
以上のほかにも、最近注目されている起業方法があります。
5.一般社団法人
2008年12月から設立が可能となった法人の種類です。
名前からは公益団体のように見えますが、実際には公益性は問われません。株式会社等と同じく、営利を目的とした事業を行うことが可能です。
・設立費用が株式会社より安い
・出資金が不要
・名前からは、株式会社に比べて営利性が前面に出ない
・「非営利型法人」の要件に該当すれば、法人税法上の優遇制度がある
などのメリットがあります。
最近は一般社団法人での起業が増え、社会の課題をビジネスにより解決しようという「社会起業家」に人気です。
6.有限責任事業組合(LLP)
有限責任事業組合は法人ではなく、あくまで「組合」という事業体です。
出資者全員が有限責任で、節税効果の高い構成員課税が認められています。
例えば、メーカーとベンチャーとの共同研究開発などに利用されます。
7.特定非営利活動法人(NPO法人)
都道府県知事や政令指定市の市長による認証を経て、設立される法人です。
NPO法人というとボランティア活動を行う団体というイメージがありますが、会員等に分配をしなければ、ビジネスとして活動することもできます。
色々な会社(法人)の種類をざっと説明しましたが、ビジネスとして稼いでいこうという志があるならば株式会社が王道ですし、社会起業家として社会貢献しながらビジネスをしたいというのであれば一般社団法人という手もあります。
起業のカタチを決める際に何より大切なことは、自分がやりたいビジネスは何なのか、そしてどのような構想があるのか、まずは事業の計画をしっかり検討することです。
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