- 前野 稔
- MC PLUS 代表
- 大阪府
- ファイナンシャルプランナー
対象:住宅資金・住宅ローン
- 伊藤 誠
- (ファイナンシャルプランナー)
- 伊藤 誠
- (ファイナンシャルプランナー)
金融機関は毎月初に当月の住宅ローン金利を発表しています。
この6月のフラット35の金利は、最低金利が2.01%となり、
史上最低の金利を更新しました。
さて、このフラット35の金利ですが、一体どのようにして決まるのでしょうか?
「そんなこと素人ではわかるはずがない」と思うかもしれま
せん。実は日頃のニュースの中に大きなヒントがあります。
昨今、欧州の経済危機がよくニュースにでていますよね。
ギリシャショックを発端にしたこのニュースは、スペインなど周辺各国にも波及しています。
また、最近ではギリシャがユーロを離脱するのではないかとの推測もでており
欧州不安がさらに拡大しつつあります。
実は、この欧州不安がフラット35の金利に大きな影響を与えているのです。
それは、フラット35の金利は、日本の長期金利に連動しているのです。
長期金利とは、日本の政府が発行している10年国債の利回りのことです。
日本の国債は、償還期間の短いものから長いものがあり、
その期間で短期、中期、長期、超長期と分類されています。
この中で、償還期間10年のものが「長期金利」と呼ばれています。
この長期金利が下がった影響で、フラット35の金利も下がったのです。
現在の日本経済は日本国内だけでなく、世界中でグローバルに動いています。
日本企業は、国内だけでなく、世界経済の景気に大きく左右されます。
同様に、世界中の投資マネーも国をまたがり各国の金融市場で毎日動いています。
金融市場というとちょっと難しいように思われるかもしれませんが、株式市場と
いう言葉は聞いたことがありますよね。これと債券市場が密接な関係にあります。
一般的に株式市場と債券市場は相反の関係にあります。
景気が良い時や良くなりそうな時は、投資マネーは株式に投資をする傾向があり
ます。一方で、景気が悪い時や悪くなりそうな時には、投資マネーは株式を避け
て、安全資産と呼ばれる債券市場で投資をする傾向にあります。
その債券市場では、比較的経済が安定している日本の国債がよく売れています。
そしてこの国債は、需要が多い時には、価格が上がり、金利が下がるという特徴があります。
つまり、日本の国債を買う人が多いということは、国債の価格が上昇し、
逆に国債の金利が下がってきているといことになります。
この関係を整理すると
● 欧州不安拡大 → 欧州からのマネー逃避 → 日本国債へマネー流入→
日本国債の金利低下 → 長期金利の低下 → フラット35の金利低下
となるのです。いかがでしょうか?意外な関係性とはこのことです。
今後については、逆に現在の欧州不安が収束し、経済が安定する兆しが見えてくると、
先ほどと反対のシナリオが予想されます。
● 欧州不安収束 → 欧州へのマネー回帰 → 日本国債からマネー流出 →
日本国債の金利上昇 → 長期金利の上昇 → フラット35の金利上昇
フラット35の金利は今後どうなるか?
それは、今後の世界経済の推移を見守るしかありません。
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