旧借地法で、契約更新を「拒絶」するには? - 住宅・不動産の法律問題 - 専門家プロファイル

矢崎 史生
矢崎不動産オフィス株式会社 代表取締役 矢崎史生
東京都
不動産コンサルタント

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対象:住宅・不動産トラブル

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旧借地法で、契約更新を「拒絶」するには?

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借地権に関するコラム
ご承知の方も多いとは思いますが、借地上に建物が存在する場合、借地人は借地契約を更新する事ができます。
これは、借地法が借地人の権利保護に重点が置かれている為です。(借地法第4条参照)
 
しかし、地主さんとしては
「契約更新をしないで、土地を返してもらいたい。」
そう考える方も少なくありません。
 
では、実際に借地契約の更新を拒絶するにはどうしたら良いのでしょうか?
答えは、地主さん側に借地契約更新を拒絶するだけの「正当事由が必要になります。
 
地主側の正当事由
・その土地を利用する事に必要性がある
 (単に返してもらいたい等ではなく、利用せざるを得ない理由が必要)
・借地人に代替地の提供または立退料の支払い
・借地人が賃料の不払いや、用法違反・無断譲渡などがある
※裁判所では上記を総合的に判断します。
 
しかし、実際に更新を拒絶するのは、なかなか困難な様です。
下記、裁判所の判例をご紹介させて頂きます。
※個別案件に関しては、別途お問合せ下さい。
 
◆借地専門の不動産会社
 矢崎不動産オフィス株式会社
 代表取締役 矢崎史生
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裁判所による判例
【判例1.自己利用を目的とした立退き/東京地裁昭和63年5月30日判決】
内容:地主には障害をもった子供がおり、将来的にその子供にその貸地を使用
    させる必要性が高いため、借地の明渡しを求め提訴。
    また、地主は相当の立退料も提示した。
判決:借地人には他に住居がなく、これまでも地代の支払遅延等もなかった。
     地主側に立退きを求める正当事由もなく、立退料を支払ったとしても、
    請求は認められない。
 
【判例2.駐車場を造る事を目的とした更新契約の拒絶/東京地裁昭和55年11月1日判決】
内容:地主は、現在所有している駐車場と隣接している借地を立退きして一体的に
    土地を有効利用したい。また、将来戻ってくる息子の為にも借地契約を解除する
    必要が高いとの理由で、借地の契約更新を拒絶。
判決:地主の目的は、駐車場収益を増加させる事であり、更新契約を拒絶する正当な
    事由はない。として、地主の更新契約拒絶を否定した。
 
※上記は裁判所判例であり、状況により異なる判決がでる場合もあります。

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