2 人事考課・降格
(1)人事考課
人事考課における査定については,査定権者,査定項目,査定の幅と基準などが定められますが,査定権者に広範な裁量が認められます。
査定の妥当性について査定権者が人事考課制度の趣旨に反して裁量権を濫用した場合に,不法行為に基づく損害賠償請求が認められます(広島高判平成13・5・23労判811号21頁)。
(2)降格
部長を一般職に降格するように,一定の役職を解く降格については,使用者が労働者を特定の職務やポストに配置していく権限として労働契約の内容として本来,予定されているものです。人事権の行使についても,使用者の裁量行為になります。
そこで,これが著しく妥当性を欠き,権利の濫用に当たると認められる場合には,違法となり,不法行為に基づく損害賠償請求が認められます(東京地判平成7・12・4労判685号17頁)。裁量の逸脱・濫用があるかどうかについては,「使用者側における業務・組織上の必要性の有無・程度,労働者がその職務・地位にふさわしい能力・適性を有するかどうか,労働者の受ける不利益の性質・程度等の諸点が考慮される」(前掲東京地判日平成7・12・4)ことになります。
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