被相続人の預金口座の取引について相続人が開示請求する権利 - 家事事件 - 専門家プロファイル

村田 英幸
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被相続人の預金口座の取引について相続人が開示請求する権利

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相続

【コラム】共同相続人の一人が被相続人名義の預金口座についてその取引経過の開示を求める権利を単独で行使することができるか(最判平成21・1・22民集63巻1号228頁)

 本件は,被相続人名義の預金について,その共同相続人の一人が,信用金庫に対して,その取引経過,具体的には入出金明細表の開示を求めた事案です。

 判旨は,預金契約が消費寄託の性質を有するだけではなく委任・準委任契約の性質を有することを理由に,委任事務等処理状況条報告義務があり(民法645条,656条),金融機関は,預金契約に求めに応じて預金口座の取引経過を開示すべき義務を負うことを判示し,それを前提として,「預金者が死亡した場合,その共同相続人の一人は,預金債権の一部を相続により取得するにとどまるが,これとは別に,共同相続人全員に帰属する預金契約上の地位に基づき,被相続人名義の預金口座についてその取引経過の開示を求める権利を単独で行使することができる(民法264条,252条ただし書)というべきであり,他の共同相続人全員の同意がないことは上記権利行使を妨げる理由となるものではない。」として,共同相続人の一人の単独開示請求を認めました。

 「なお,開示請求の態様,開示を求める対象ないし範囲等によっては,預金口座の取引経過の開示請求が権利の濫用に当たり許されない場合があると考えられる」とも判示しています。

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