最近、飲食店などでは全面禁煙の店が増え、タバコを吸える店でも時間帯によっては禁煙になっており、また吸えるスペースの限られている店が目立ちます。タバコを吸う人にとっては心おきなくタバコを吸える店を探すことが大仕事で、吸える店をようやく見つけたとしても、他の客に気兼ねしながら窮屈な姿勢でタバコを吸う、というご時世です。
タバコを吸えなくなっているのは飲食店だけでありません。エアラインの客席が全面禁煙になって10年あまりが経ち、またJR東日本では新幹線や特急列車も含めて全ての客席、全てのホームで禁煙となりました。それだけでなくタクシーやバスも禁煙の車両が目立ち、喫煙者は移動の際に、長時間にわたりタバコを吸えないという苦行を迫られています。
病院などの医療機関では特殊な施設を除いて、全館禁煙となったのは当然の流れです。約20年前には病棟の待合室などで患者や職員が堂々とタバコを吸っていたのは、今から思うと信じられない光景です。また会議場やイベントホール、各種公共施設なども原則として禁煙、または一部のスペースを除き禁煙という所が大半です。企業のオフィスや工場でも、喫煙できる場所や時間帯を限定する所が目立ってきています。
喫煙者にとっては自分たちの居場所がますます狭くなってきているのが実情ですが、タバコの値上げもそれに追い打ちをかけています。タバコにかかる税金が段階的に上がってきており、タバコの値段が年々高くなっています。例えば30年以上も前からの人気ブランドである「マイルドセブン」は10数年前には220円でしたが、その後何回か値上がりを繰り返し、今では410円と倍近くに上がっています。
このような禁煙に向かう社会的な流れや、喫煙者の払うコストの値上がり傾向は世界的に拡がってきています。特に先進的なのが米国で、男性の喫煙率は20%を切り、また女性も低下傾向がみられます。米国に出張に訪れる喫煙者は、公共の場ではタバコを吸える所が殆んどない、と嘆きます。またかつて喫煙大国だったイギリスでも、医師らが中心になって禁煙運動に取り組み、医師の喫煙率が50%以上から2%余りに急落するなど、禁煙の動きが社会に定着しつつあります。
それに比べると日本は、路上喫煙や公共の場での喫煙が半ば黙認されているなど、欧米先進国に比べれば禁煙に関する取り組みが遅れているともいえます。喫煙率に関して、男性は減少に転じたとはいえ未だに40%前後と高く、女性は男性に比べて低かったものの10%前後と足踏みの状態です。10~20代の若い女性に限ってみると、近年は逆に上昇傾向さえ示しているのです。
またタバコのパッケージには「健康のために吸い過ぎに注意しましょう」と注意書きがありますが、これは諸外国に比べれば物足りない表現です。外国では軒並み「タバコはあなたをガンにする!」などのリアルな警告文を、写真やイラスト付きで掲載しています。これは消費者から訴えられないようにするタバコ会社の防衛策でもありますが、今やタバコの危険性を明らかにする時代になっているのです・・(続く)
このコラムの執筆専門家
- 吉野 真人
- (東京都 / 医師)
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