
- 茅野 分
- 銀座泰明クリニック 院長
- 東京都
- 精神科医(精神保健指定医、精神科専門医)
-
03-5537-3496
大震災から2ヶ月が経ちました。被災地は急性期の混乱から脱したものの、慢性的な障害を生じています。沿岸部にはまだ瓦礫が散乱し、行方不明者は1万人近くいます。避難者は12万人を越え、避難所での生活を続けています。
このような状況下、自衛隊や警察・消防、そしてボランティアの方々が日夜、援助してくれています。瓦礫の撤去、行方不明者の捜索をはじめ、食事・洗濯・掃除のような避難所の生活援助まで内容は多岐に渡ります。
援助してくれている方々ですが、その多くが自ら公園や空地にテントを張り、野宿に近い生活を送っています。電気・ガス・水道のない中、自らも不自由な生活を送りながら、懸命に援助してくれているのです。
援助は長期化すると様々な問題を生じます。過酷な労働、悲惨な光景、不当な評価などにより、被災者と同様、時にはそれ以上のストレスを伴います。この特殊な状況における精神的ストレスを「非常事態ストレス Clitical Incident Stress, CIS」と呼びます。CISになりやすい状況を列挙すると次のようになります。
・同僚が負傷したり殉職したりした場合
・自らも死の恐怖を感じながら活動した場合
・多数の死傷者が発生するなどの凄惨な現場の場合
・何らかの理由で救援を十分に遂行できなかった場合
・苦痛を与えるような光景や臭気などの伴う場合
・特に子供の遺体を収容する場合
このため援助者も「二次被災者」や「隠れた被災者」と呼ばれることがあります。特に自衛隊や警察・消防の方々は国家の任務として働いており、被災者はもとより、社会からの期待や責任を背負うため、弱音を吐くことができません。そして気がつくと過度の緊張のあまり、不眠、不安、抑鬱といった症状を呈することもあります。
つきましては、このような事情を念頭におき、予防的な体制を整備する必要があります。具体的には以下のような対策が望まれます。
・定期的な休息:睡眠と食事、入浴と着替え
・会話や相談:不快な感情を溜め込まない
・知識や情報の共有:適切なストレス対処
・評価と慰労:ポジティブ・フィードバック
復興は年余にわたる作業です。多くの方々が分担・協力しながら、ストレスを溜めることなく、無事に作業を遂行されるよう期待しています。そして東北・日本が再び今まで以上の元気を取り戻す日を願ってやみません。
銀座泰明クリニック
このコラムの執筆専門家

- 茅野 分
- (東京都 / 精神科医(精神保健指定医、精神科専門医))
- 銀座泰明クリニック 院長
東京・銀座の心療内科・精神科、夜間・土曜も診療しております。
東京・銀座の心療内科・精神科です。夜間・土曜も診療しております。都会で毎日、忙しく過ごされている方々へ、心身の健康をサポートいたします。不眠、不安、うつ病などに関して、お気軽にご相談ください。
このコラムに類似したコラム
携帯電話、電磁波とがん発症の関連性について 岩崎 治之 - 柔道整復師(2011/06/02 14:59)
〈メンタルトレーニングとは〉ビジネスでメンタルトレーニングを活用する! 夏目えみ - メンタルトレーナー(リコレクト専属)(2019/04/30 22:05)
エクストリーム出社の選択肢 みかん - 人体調律師 ・ 鍼灸マッサージ師(2014/04/24 10:00)
『そんな治療院いくんじゃない!』と言われたい治療院です。 みかん - 人体調律師 ・ 鍼灸マッサージ師(2014/04/22 10:00)
睡眠専門家の < ストレス・不眠解消のためのひとこと > 快眠コーディネイター 力田 正明 - 快眠コーディネイター(2012/11/06 21:04)