パリ便り2 クロワッサン編 - 洋菓子・和菓子 - 専門家プロファイル

塚本 有紀
フランス料理・製菓教室「アトリエ・イグレック」 主宰
大阪府
料理講師

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対象:料理・クッキング

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閲覧数順 2024年04月26日更新

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パリ便り2 クロワッサン編

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さて前回に引き続き、秋のパリ、おいしいクロワッサンのお話しをお届けします。

噛んだ瞬間に香るバター香、はらはらさくさく加減、内相の層の入り方、そして形の美しさ(といっても、美しいからおいしいというわけでもありません)などなど、お店によってみんな違います。AOC(原産地統制名称)のついたバターを使っていることを明記しているお店もあり、産地によって最初のバター香は違ってきます。お菓子屋さん系とパン屋さん系でも、そのおいしさは違います。

人によってたぶん好きなクロワッサンのタイプはかなり違うでしょう。私にとって重要なのはバター香や生地の味とともに、「甘さ」もかなり大切です。総じて日本のクロワッサンよりも、フランスのクロワッサンのほうが甘めに設定されているようです(私は甘めが好きです)。ぱりはりさくさく過ぎて、紙のように薄い層は好きではありません。端っこを引っ張ると「びろーん」と中心部の層が引っ張られてでてくるのも楽しいのですが、サクい食感のクロワッサンもあります。

クロワッサンで有名なお店に行ってみましたが、薄い層がべたっとくっついてしまって、おいしくないこともありました。もちろんクロワッサンは、パイではないので内側の層は互いにひっついているようには見えます。でも生地同士が隣合わせているのと、合体してしまっているのは違います。噛むと口の中で団子になってしまうのです。パンオショコラもパンオレもみんな団子状になり、残念な朝食に。その日はご店主は調子がよくなかったのかもしれません。次回また行ってみることにしましょう。

さて今回とびきりおいしかったのは、「レジス・コラン Régis Colin(53, rue Montmartre 75002)」のクロワッサン(E0.95)。瞬間のバター香、はらはら具合、甘みの繊細さ、内相の柔らかさと層の絶妙さ、形の美しさ、と何をとってもパーフェクト! まあこのような形容の言葉はあとから考えついたもので、とにかくぱくっと食べた瞬間に「わあ、間違いなくこれがナンバーワン!」と言ってしまうようなおいしさなのです。このクロワッサンはイル・ド・フランスのコンクールで1位を取っているのだそう。バゲットやガレットでもこのお店は優勝しています。ずらりと並ぶ伝統的なお菓子、ミルフィーユ、タルト・オ・シトロン、エクレア、レリジューズなども端正にきっちり、かつ愛らしく作られています。製菓道具を買いに行くお店にとても近いので、これからは毎回必ず行くことになりそう。

もう一つとてもおいしかったのは、バゲットがおいしい「ピシャール Pichard(88 rue Cambronne 75015)」です。とびきりよいバターの香りが広がります。形はわりとがっしりしているように見えるのに、層は薄い薄い、例えるならシルクのような繊細さ。甘みもあって、素敵な味わい。こちらのお店もクロワッサンとガレットで賞を取っています。

本道からは外れますが、「ラデュレ Laduree」のクロワッサン・オ・ノワもおすすめです。それも通常サイズ(ちょっと重たい)ではなくて、断然ミニのほう。賞を取っているようなパン屋さんのでも0.95〜1ユーロですが、小さい方でも1.15ユーロとは相当に高い! しかしそれでもどうしても毎回買ってしまうし、ついつい人にも勧めてしまいます。クロワッサンとくるみはとても合うと思うのです。

私はクロワッサンが大好きなので、フランスではついついクロワッサンばかり食べ過ぎます。フランスに来た!と実感するのは、何より一個目のクロワッサンを口にした瞬間。そしてパリの空港を立つ直前、最後に食べているのもやっぱりクロワッサンなのです。

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