中小企業の会計に関する研究会中間報告書、中小企業庁 - 会計・経理全般 - 専門家プロファイル

平 仁
ABC税理士法人 税理士
東京都
税理士
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中小企業の会計に関する研究会中間報告書、中小企業庁

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中小企業庁は9月30日、中小企業の会計に関する研究会において

7回にわたって検討してきたことを取りまとめ、中間報告書を公表した。

http://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/kaikei/2010/100930InterimReport.htm

 

学術経験者から、品川芳宣早大教授(租税法)、上村達男早大教授(商法)、

河崎照行甲南大教授(会計学)、金融機関から、商工中金、京葉銀行、

城北信金から選出の各委員、企業から選出の4名の委員の計10名による

プレゼンと意見交換を経てまとめられたこの中間報告は、IFRS導入の

動きに対して、中小指針でさえ「高度かつ複雑、経営者が理解しにくい、

会計処理の選択の幅が限定的である、中小企業の商慣習や会計慣行の実態に

必ずしも即していない部分がある等」の批判を踏まえ検討したものです。

 

報告書は、次の4点を満たすものが望ましいとしている。

1.経営者が理解でき、自社の経営状況を適切に把握できる「経営者に役立つ会計」

2.金融機関や取引先等の信用を獲得するために必要かつ十分な情報を

提供する「利害関係者と繋がる会計」

3.実務における会計慣行を最大限考慮し、税務との親和性を保つことの

できる「実務に配慮した会計」

4.中小企業に過重な負担を課さない、中小企業の身の丈に合った「実行可能な会計」

 

また、次のような視点が打ち出されていることに注意が必要でしょう。

・中小企業の会計処理のあり方について、IFRSを適用する必要はない。

IFRSへのコンバージェンスが進む会計基準とは、一線を画して検討が

行われることが重要である。

・中小企業の会計処理と法人税法で定める会計処理との親和性が保たれ、

引き続き、確定決算主義が維持されるよう、双方の制度について検討が

行われることが重要である。

・自らの経営の確実性を示す上で、適時に、整然かつ明瞭に、正確かつ

網羅的に、信頼性のある記帳を行うことが重要である。

 

そして、最終報告に向けて、「企業会計基準をベースに、それを簡素化する

アプローチではなく、対象とする中小企業の属性を検討し、取得原価主義、

企業会計原則等を踏まえつつ、積上げ方式で策定するアプローチを採るべき」

との立場を明らかにしている。

 

投資情報の開示に主眼が置かれるIFRSとの親和性の高い企業会計基準を

中小企業の会計のベースにしないとの立場はいいですね。

法務省もオブザーバーとして参加していますし、IFRSと同一化させる

企業会計基準と中小企業の会計の2本立てになることになろうが、

法の目的に沿った解釈が必要である以上、致し方あるまい。

先日ご紹介した単体財務諸表に関する検討会議とともに、研究成果として

基準が制定されることを強く望みたいところです。

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