(続き)・・上記のような理屈からすると、食卓に於いてごく一般的な組み合わせである「魚と米」や「牛乳とパン」、それに「肉と麺」といった取り合わせは、あまり好ましくないことになります。具体的には焼き魚定食や牛丼、ハムエッグとパンの朝食、肉うどん、すし、肉じゃが、牛乳とシリアルなど、例をあげると枚挙に暇がありません。もしそうだとすると、我々はいったい何を食べればよいのでしょうか。
ここで強調したいことは、各々の食材を食べてはいけないと言っている訳では、決してないということです。つまり魚も米も、肉もパンも、それぞれ食べてよいのです。ただしそれを組み合わせて食べなければよい、ということです。例えば牛丼の米と牛肉は合わせて同時に食べるのではなく、それぞれ「単独」で食べると問題ありません。これらの食材は、できれば一回に一種類だけ食べるのが理にかなった食べ方といえます。但し例外があり、良質なたんぱく源である豆製品(煮豆、豆腐、納豆など)は、たんぱく質の量はそれほど多くないので、米やパンなどの炭水化物と合わせることが可能です。
最も大切なポイントは、これらの食品をいずれも「たっぷりの生野菜」と一緒に食べる、ということです。すなわち肉と野菜、魚と野菜、米と野菜、パンと野菜、麺と野菜などの組み合わせです。野菜は生である限り、果物に次いで消化にエネルギーのかからない食材です。野菜とこれらの食品群と組み合わせても、何の問題もありません。それどころか、野菜に豊富に含まれる酵素やビタミン、ミネラル、ファイトケミカルといった有効成分が、これらの食材の消化をサポートさえしてくれるのです。
生野菜は前述のように、便秘や肥満、動脈硬化、ガンなどを防いでくれる有効成分がぎっしりと含まれています。米国では政府や医学会が音頭をとって、「一日5皿以上」の野菜を食べなさい、というスローガンを打ち出し、実際に米国民の野菜消費量が増加するのに並行して、ガンや心臓病の死亡率が低下しています。食事に野菜をふんだんに取り入れることによって、より健康にエネルギッシュになれることは間違いないといえます。
実際のレシピを一部紹介すると、「鮮魚のカルパッチョ」がまず挙げられます。これは生の魚、つまりお刺身と、豊富な生野菜の組み合わせです。魚も野菜と同様、生の方がよりヘルシーな食材になります。次に「たっぷり野菜の手巻き寿司」があります。これは魚の代わりに野菜をたっぷりと入れた手巻き寿司です。あるいは焼肉をサラダに取り合わせた「ステーキサラダ」もお勧めです。このように野菜とその他の食品との組み合わせは、工夫次第ではそれこそ無限に考えつくことが分かります。実際にそのレシピ集だけで、分厚い1冊の本が書けるほどです。
以上のような、野菜と果物を主体とした「自然の法則」に従った食生活に慣れてくると、胃腸のトラブルに悩まされることもなく、長年の悩みだった便秘や肥満、アレルギー、その他の様々な体調不良から解放される可能性が高くなります。それだけでなく、糖尿病や高血圧、心臓病、それにガンのような病気に苛まれている方であっても、その病状が顕著に改善に向かうことも夢ではありません。この食事法は何歳から始めても決して遅くはないのです。出来る範囲からで結構ですので、ぜひすぐにでも取り組んでみられることをお勧めします。
このコラムの執筆専門家
- 吉野 真人
- (東京都 / 医師)
あなたの自然治癒力を引き出し心身の健康づくりをサポートします
病気を治したり予防するにあたり、いちばん大切なのは、ご本人の自然治癒力です。メンタルヘルスを軸に、食生活の改善、体温の維持・細胞活性化などのアプローチを複合的に組み合わせて自然治癒力を向上させ、心と身体の両方の健康状態を回復へと導きます。
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