- 中山 幹男
- 株式会社A&Mコンサルト 代表取締役
- 大阪府
- 経営コンサルタント
対象:経営コンサルティング
- 戸村 智憲
- (経営コンサルタント ジャーナリスト 講師)
先日、クライアント先の仕事で売上対策の議論をした。
売上が前年比半減し、社長は売上確保に躍起になっている。営業部門長、技術部門長、製造部門長、管理部門長の経営幹部を集めてこの厳しい環境下で売上確保をどうしたらできるか議論をした。
ところが・・・
主体となるのは営業部門のみで、他の部門長は他人事である。
売上を確保するのは営業部門の役割で我々は設計、製造、管理部門でやるべき事は別にあり支援はできるが・・・という感じである。
まさに 私「売る人」 私「設計する人」 私「造る人」 である。
そこで、私は「全員営業」というキーワードを提案した。
販売するのは営業部門だけではなく、全ての部門が営業マンとして活動し、売上を稼ごうというコンセプトである。
確かに会社が大きくなり、組織化されると職務分掌を作成し、各部門の役割を明確化し組織的に企業活動が行なわれるようにする事が大切である。各従業員が個人商店的に動いていると非常に業務の効率が悪くなる。但しこれが行き過ぎると組織間の壁(セクショナリズム)が発生し、部門最適で行動するようになる。
経営コンサルタントの一倉定が「責任範囲の明確化」自体が無責任社員を作り出すと言っているように平常時は効率化の為に組織的に仕事をこなす事は大切であるが、非常時は組織の壁を乗り越えて活動することが重要である。
新聞に岩崎電気という会社が「営業に技術員を動員」という記事が載っていた。技術者40人の内20人を工場に近い客先に営業活動をさせるという施策である。この施策は製品の技術内容に詳しい技術員が直接製品を説明する事で製品導入がしやすくなる。また、顧客から不満や要望を直接聞けるので製品開発に役立てる事ができるというメリットもある。まさに全員営業の観点で職務機能を乗り越えて活動する事により、売上確保のメリットも出せ、個人の能力も上がると考える。
私も昔、自動車メーカーの開発部隊にいた時に半年営業マンとして活動した事がある。最初はなぜ開発担当者が営業活動をする必要があるのか、時間が無駄だと感じたが、実際仕事をしてみると直接顧客と接することができ、車に対する顧客ニーズ、使い方が現場体験でき非常に有用だったと記憶している。
この厳しい環境下で、通常時のルーチンを回す組織活動だけではなく、大きく組織機能、役割を乗り越えた人の配置、行動により経営課題を解決する施策を実施する事も必要ではないかと考える。
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