SFCGの資産隠しにNO(その4) - 会計・経理全般 - 専門家プロファイル

平 仁
ABC税理士法人 税理士
東京都
税理士
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SFCGの資産隠しにNO(その4)

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雑感
SFCGによる資産隠しでは、日本貸金業協会による特別監査の開始直後から
隠蔽工作が行われていたことが明らかになった。
8日3時17分asahi.com記事はこう報じた。

経営破綻した商工ローン最大手SFCG(旧商工ファンド)が、昨年11月に
日本貸金業協会による特別監査が始まった直後、貸金業法違反の恐れのある
グループ会社の書類をひそかに移すなど隠蔽工作をしていたことがわかった。
株や債権など資産を関連会社へ流出させる行為も、特別監査中に行われていた。
協会は長く社内に立ち入っていながら、気づくことができなかった。
貸金業協会などによると、SFCGへの特別監査は、昨年11月下旬から
今年3月下旬まで行われた。
昨年9月以降、一括返済を求められた顧客の苦情が相次いでいたことから、
協会初の実地監査として、約10人が東京都中央区のSFCG本社に立ち入った。
SFCGの社内文書などによると、本社のあるビルの8階には当時、
グループの別の貸金業者なども同居していた。
特別監査の開始直後の昨年11月末、SFCGはこの業者などグループ各社の
全書類を8階から12階へ移させた。
さらに立ち入りが始まった12月中旬、11階へ再移動させたという。
複数の貸金業者の営業所の同居は、貸金業法で定められた貸金業者の
登録要件に反する恐れがある。
12階への移動を指示したSFCGの社内文書は「(貸金)業法違反になるので」
と移動の理由を明記しており、特別監査に対する隠蔽工作だったとみられる。
朝日新聞は、昨年12月12日の再移動作業を撮影した動画を関係者から入手した。
SFCGの破綻前、同社に対して書類隠蔽の事実確認を求めたが、回答は得られなかった。
SFCGの破産管財人によると、同社は昨年9月〜今年2月、株や債権など
2670億円相当の資産を大島健伸元社長の親族会社などへ流出させたとされる。
特に2月23日に破綻する直前には、駆け込み的に無償や格安での債権譲渡がなされた。
破綻時には「抜けがらだった」という。
書類の隠蔽や資産隠しは特別監査中に行われたが、貸金業協会はこれらの
行為を未然に防ぐことができなかった。
同協会は、朝日新聞の取材に「資産移転や債権譲渡は、今回の監査目的を
超えるものだった。今回の監査について、どのような問題があり、
どのような改善が可能か検討している」と文書で答えた。
同協会を監督する金融庁は「特別監査中の行動に気づかなかった事実がある
とすれば、反省すべきは反省しなければならない」と話した。
高金利で顧客が払い過ぎた利息の返還に取り組んでいる日栄・商工ファンド
対策全国弁護団は「早く気づいていれば資産流出を食い止めることが
できたはずだ。協会は何を監査していたのか」と憤る。
貸金業協会の特別監査は、SFCGが3月27日に東京都から貸金業登録の
取り消し処分を受けたため、途中で終わったままとなっている。

■「社名シールはがせ」
SFCGのグループ会社の社員だった男性は、昨年11月末からの社内の
異変を今も鮮明に覚えている。
11月29日午後、東京・日本橋のオフィスビル8階にあった会社で、
社員に文書が配られた。
「日本貸金業協会の監査が入っております。(貸金)業法違反になるので、
荷物は全部移動しなくてはならない」。
土曜出勤していた男性は、突然の指示に驚いた。
グループ会社の事務所は、SFCG本社と同じ8階フロアにあった。
指示に従って、書類を段ボール箱に入れて12階へ運ぶと、8階に同居する
グループ各社ごとに箱の置き場所が割り当てられていた。
週明けの12月1日、出社した男性は、会社から「電話がかかってきても
社名を大声で言うな」と指示された。
「備品に張った社名シールをはがせ」とも命じられた。
複数の貸金業者が同一フロアに入居する事実が協会側に発覚しないための
偽装工作だった。
12月12日には、12階の書類を11階へ再移動せよとの指示。
積み上げられた箱の中身を見てみると、顧客に返済を求めるSFCGの
督促状が大量に入っていた。
社員が荷運びに追われる中、貸金業協会の職員らは、8階フロアに
立ち入って特別監査を続けていた。
同じビルで起きていた異変に気づくことはなかった。
「あの特別監査は何だったのか」。男性の疑問は今も消えずにいる。



なんともあきれ果てた話である。
それも荷物運びをしている会社がある中で、貸金業協会の職員は何も
感じなかったというのだ。
協会の特別監査が形式的な緊張感のないものであったかが容易に窺える。
税務調査の現場でもこんな緊張感のない職員が来てくれると怨嗟の声が
相当減るんでしょうねえ。
国税庁の職員研修を見習うべきではないのか。
調査手法の良し悪しは兎も角、彼らはプロですからね。
社会全体がこういう緊張感を持ったプロ集団になれば、閉塞感も変わるような
気もします。

さて、話は戻しますが、SFCGの資産隠しの実態が見えてくると、
いかにも稚拙な資産隠しであったが、会社ぐるみであったことが見えてくる。
大島元社長による会社の私物化という実態が明らかになってくると
言ったほうが適切かもしれない。

昨日8日は、漢検の大久保親子も財団の私物化の実態を摘発され、刑事告発
されておりますが、なぜこうしてまで会社を食い物にするのか。

法が人格を認めて個人とは別個の独立した存在として存在が許された法人
であることを忘れて、実態は個人事業のまま、という会社が多いという
意味でもあるのだろうか。

会社は社会の公器としての社会的地位を確保してきているだけに、
その経営実態との乖離があまりにも大きいのかもしれない。

SFCGの資産隠しの悪質性はますます強まってきている。

一罰百戒ではありませんが、社会に与えるインパクトを考慮した対応を
期待したいものである。