- 平 仁
- ABC税理士法人 税理士
- 東京都
- 税理士
対象:会計・経理
複数の米紙が29日夜、財務省と債権者グループの交渉がまとまらず、
破産法の適用(日本の民事再生法に当たる)を申請する方向だと報じた。
これに関連して、オバマ大統領も、就任100日の会見で、
クライスラーが一時的に破綻する旨を言及した。
30日13時22分asahi.com記事はこう報じた。
オバマ米大統領は29日夜(日本時間30日午前)、経営改善策提出の期限を
30日に迎える米自動車大手クライスラーについて、再建の過程で一時的に
経営破綻する可能性も示唆した。
一方で、「存続に向けた解決策が提示されることに、先月の時点より希望を
持っている」と長期的な存続見通しを強調した。
この日が政権発足100日目にあたることから、ホワイトハウスで記者会見
した中で、クライスラー問題に言及した。
オバマ氏は、同社が経営改善策の検討の過程で、連邦破産法11条の
申請についても選択肢の一つとして準備していることに触れ、
「緊急事態に備えなければならないのだから、クライスラーがそうした
準備をすることは、賢明であり適切だ」と評価。
その上で「クライスラーがそうした(破産法申請の)選択をするかは
まだはっきりしないが、主要な債権者が譲歩姿勢を示しているのだから、
同社が一種の経営破綻を経なければならないにしても、非常に短期間の
破綻になる」と述べた。
一時的な破綻を通じて、債務を大幅に削減した後、再生する可能性を
示唆したものとみられる。
クライスラーの再建計画について、再建後のクライスラー株式について、
全米自動車労組(UAW)が55%、伊フィアットが35%、政府等が10%を
保有することにする形で、一度は再建の方向で話がまとまったように見えた。
しかし、債権者たちに政府の示した債務削減案に対して、政府と債権者の
交渉がまとまらず、一時的に破たん処理する方向性で落ち着きそうである。
オバマ大統領の会見からすれば、大統領はクライスラーが再建されることを
望んでいるように思われますが、GMの再建案に対する対応を見ても、
現状のままで再建されることを望んでいるわけではない。
むしろ、大量消費を前提としたアメリカ型の消費社会ではなく、環境に
配慮したハイブリッド車の開発を主軸においた、新しい体制が構築される
ことを望んでいるように思う。
クライスラーの債権問題で、財務省が強い姿勢で債務削減を要求しているのも、
債権者が要請を受け入れないのであれば、破たん処理もやむなし、との
姿勢があるからであろう。
ただ、アメリカが経済改革に本気で取り組む意思を示していることは、
どん底から再生しようとしている世界経済の姿が、従来型の消費社会を
前提としないものとなることが予想できる。
わが国はエコ活動に尽力しているとはいえ、まだまだ取組が場当たり的で、
信念を持ったエコ活動が国家レベルで浸透しているとは言い難い。
クライスラーの債権問題からアメリカの強い姿勢が見え隠れするだけに、
わが国も本気で環境問題に取り組む必要があろう。