うつ病を克服した芸能人に学ぶ

学べる！！ニュースショー！

４月２８日（火）１９時〜２時間スペシャル　テレビ朝日

芸能人（音無美紀子さん、生田悦子さん、岸部四郎さん、小山明子さん、萩原流行さん、千葉麗子さん）のうつ病の体験談がうかがえます。病気の特徴や対処の方法なども紹介されます。番組製作には銀座泰明クリニックが協力いたしました。

放送後記

放送は無事終了いたしました。音無美紀子さんの病歴を中心にうつ病の発病・経過・回復過程が紹介されました。音無さんは病院を受診することなく、ご家族の献身的な看護により、回復しました。ご主人やお子さんが優しく前向きな認知や行動を促すことで軽快したのです。

しかし、極期には強い不眠・不安・抑鬱、そして自殺念慮も生じていたようで、無事に回復したことは幸運とも言えます。やはりこのような症状が生じている時は本人や家族内で抱え込まず、速やかに精神科を受診して、薬物療法をはじめとした治療を受けられることをお勧め致します。

にもかかわらず、生田さんが内科を受診された際、全く取り合ってもらえなかったことは気の毒でした。当時はまだうつ病の情報が十分に流布しておらず、医師でも精神科医以外は適切な診断・治療の方法をよく知りませんでした。一方、岸部さんや千葉さんは精神科・心療内科を受診し、適切な治療を受けられたようで何よりです。

千葉さんが主治医に受けたアドバイス「まあいいか」をお守りにしていたというお話が印象的でした。うつ病の方は完全主義のことが多く、不全感を抱きがちです。そこで意識して「まあいいか」と、ほどほどで満足する習慣をつけることが気楽でいられるポイントです。

実は SSRI, Serotonin Selective Reuptake Inhibitor の作用の一つも、「まあいいか」という考えを生じさせると言われています。SSRI によりいわゆる強迫的思考「ねばならない」をやわらげ、「まあいいか」という現実的妥協をもたらすわけです。

生田さんも「ケセラセラ」（スペイン語で「なるようになる」という意味、アメリカ映画の曲名）とおっしゃていました。これは英語にするとビートルズの Let it be となり、困難な問題に開き直り、現実を素直に受け入れる姿勢を意味します。森田療法の「あるがまま」、老子の「無為自然」も同様で、洋の東西を問わず、人生の様々な困難を乗り越えていく上で必要とされる普遍的な心理ともいえるでしょう。

最後に、このような番組が民放でゴールデンタイムに放送されたことを嬉しく思います。「うつ病」や「精神科」やという一昔前ならば避けられた話題が、お茶の間で気軽に話し合えるようになったわけです。芸能人の方々も勇気をもって出演して下さいました。

今後さらに若い方や多くの方々が出演し、話題にして下さることを願います。先日もアイドルタレントや現役の大臣の方がアルコールで問題を生じました。違法薬物で逮捕された方や自殺をされた方もいらっしゃいました。いずれも適切な精神医療を受けることで予防できた事例だと思います。

今回撮影に関わることで、マスコミに関わる方々が想像を絶するスケジュールで活動されていることを目の当たりにしました。昼夜を問わず、24時間、働き続けているようでした。であるからこそ、皆様が心身の健康を保てるよう、精神医療の普及活動を続けてまいる次第です。

銀座泰明クリニック