- 寺崎 芳紀
- 株式会社アースソリューション 代表取締役
- 東京都
- 経営コンサルタント
-
03-5858-9916
対象:経営コンサルティング
- 戸村 智憲
- (経営コンサルタント ジャーナリスト 講師)
こんにちは!株式会社アースソリューションの寺崎でございます。
本日は、地域包括ケアシステムにおいて、医療ニーズの高い方に対するサービスとしてどのようなものがあるのかについて、取り上げたいと思います。
先日から、地域包括ケアシステムの考え方について、「住み慣れた自宅・地域でいつまでも暮らせるような支援の仕組みを作る」という趣旨についてお伝えしております。
しかし、実際は認知症高齢者も増え続けておりますし、医療ニーズの高い方も増え続けています。国は入院期限を極力減らし、軽度者については地域の診療所やクリニックの先生方に担っていただこうという考えがあり、実際にそうなっています。
にもかかわらず、その体制が十分なされているとは言いにくいのが実情かと思います。
では、このニーズに対応するために、介護保険サービスにおいてどういう位置づけをされているのですようか。
「訪問看護ステーション」というサービスがあります。
看護師さんが、患者様(ご利用者様)の居宅に訪問し、医師の指示のもとに看護サービスを提供するサービスです。医療保険と介護保険の2種類のサービスがあります。
近年、在宅での看取り対応のニーズが増えております。私が知る訪問看護ステーションでも、夜間早朝休日問わず動いている看護師さんがたくさんいらっしゃいます。
ターミナルケアとなりますと、患者様の容態は刻一刻と変化します。ですので、要望があれば都度訪問する必要があります。
しかし、当然ながら稼働すると経費がかかります。
にもかかわらず、そのニーズに対して報酬が見合っていませんでした。
そこで前回の改定で創設されたのが、「看護体制強化加算ⅠとⅡ」です。
もともと一つだったのが、ターミナルケアの対応頻度に応じて2つにわかれ、一方が従来の300単位/月から600単位/月と倍増しました。ターミナルケア加算の算定が年5名以上いれば、当該加算(Ⅰ)600単位/月が算定できます。
ターミナル対応をする事業所に対して、多少は加算によって評価されるようになりました。
しかし、これでも足りない位です。実際、加算算定率も低く、加算Ⅰは2.64%、加算Ⅱは5.39%とのこと(2020年6月1日介護給付費分科会資料による)。
算定率が低すぎます。理由は、算定のハードルが高いからです。面倒な割に報酬が低い。それならはじめから算定しない方がよい、というのが理由でしょう。
個人的には、取れる加算は積極的に取得すべきですし、逆に加算が取れるのに取らない選択をするのは努力不足と言わざるを得ません。
しかし、ハードが高いのも問題です。普通に行われるサービスについては、基本報酬に含めるなり加算を取りやすくするなりしてもよいと思います。日常の運営状況については実地指導でチェックすればよいし、運営がダメダメならペナルティを課せばよいのです。
簡単ではないと思いますが、これから在宅ニーズ(特に重篤患者様)への対応はさらに増すばかりです。
訪問看護ステーションは、もう日中のみのサービスしかやらないようでは取り残されますし、24時間の対応が求められます。訪問診療が充実してきており(地域によっては不足しているところもありますが)、かつニーズが高まっている中、訪問診療クリニックと連携するためには24時間対応が必須です。
数年前でしたら即入院!というケースが、今では難しくなってきています。
地域包括ケアシステムを構築したいのであれば、それを担う事業者への評価は不可欠です。
この続きは、次回に・・・
このコラムの執筆専門家
- 寺崎 芳紀
- (東京都 / 経営コンサルタント)
- 株式会社アースソリューション 代表取締役
介護事業所の開設から運営まで、オールワンでお手伝いいたします
有料老人ホーム施設長・訪問・通所介護管理者・老健相談員、事業所開発等の経験を活かし、2007年7月に弊社を設立しました。介護施設紹介サービスをはじめ、介護事業所の開設・運営支援等を行い、最近では介護関連の執筆活動にも力を入れております。
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