- 大澤 眞知子
- Super World Club 代表
- カナダ留学・クリティカルシンキング専門家
アメリカの交換留学実態について、現地から悲惨な相談です。
交換留学崩壊寸前の状況について8月に3つ、コラムで報告しましたが、事態は重篤のようです。
「アメリカ高校交換留学-きな臭い影の存在」
「アメリカ交換留学-出発直前なのにホストが決まらない」
「崩壊寸前のアメリカ交換留学の実態」
【相談】
交換留学でクリスチャンスクールに洗脳されかけている、助けて!
アメリカに交換留学中の者です。
出発がなかなか決まらず、突然「明日出発です」と告げられ、渡米。その頃から違和感は抱いていたのですが、入学した高校がクリスチャンスクールでした
公立の現地校に通えることがウリの交換留学なのに、なんの了承も得ず勝手に私立のクリスチャンスクールになり、しかも人数も小規模で、小学生も混じって授業を受けるので有意義な授業はほぼ無いです。
極めつけは高校生と同じくらい留学生もいるということ。同じ留学団体から大量に特定の国籍(日本も含めたアジア)を受け入れているようで、せっかく日本語のない環境を求めてやってきた留学先に私以外に3人も日本人がいます。正直現地の子と仲良くしたいのに、正直日本の語学学校と変わらない環境です。
渡米してから1ヶ月も経っていないけどもう学校が嫌です。アメリカらしい高校生活はなく、語学学校の延長と言った感じです。部活も二種類とかしかなく、しかも初心者お断りなので帰ってやることも無くペットと遊ぶ毎日です。
クリスチャンスクールも日本とは違い宗教的で、世界史ですらアウストラロピテクスなどを習うのではなく、神が世界を作った。神が人々を争わせたから、この戦いが起きた。などという洗脳感たっぷりの内容です。
化学に至っては「今日では進化論を唱える者もいるが、デタラメだ、神が全てお作りになった」と言うし、聖書の授業も取らされ、信仰してもいないキリスト教についてあなたはどこが素晴らしいと思うかと聞かれます
多分大量に売れ残った仏教徒を受けいれてはこうやって洗脳していくのが方針みたいです。授業もほとんど祈っているし。
望んだ訳でもないこの宗教漬けの毎日で頭が狂いそうです。十字架見ただけでイラつきます。普通に公立に通い、クラブに行き、好きな授業を取りたかった。
留学団体に訴えれば、転校できますか?ホストファミリーはとても良心的でキリスト教に熱心という訳ではありません。
教会に来なくてもいいよあなたはクリスチャンじゃないから、と言ってくれます。
転校したい。でなかったらもう帰りたい。ここにいて学べることは少ない気がします
現地の人も仲良くはしてくれるけど数多いる留学生のジャパニーズの1人としか見てくれていません。留学生がいすぎて、もう日本のことに興味がないんです。
回答お願い致します。
【回答】
8月に「アメリカ交換留学-きな臭い影の存在」というコラムを公開しています。
そこで危惧したことが、正にリアルタイムで起こっているご相談に改めて驚きを隠せません。
カナダ・バンクーバー在住、日本からやって来る高校生・大学生の支援を行い30年近くになります。
コラムでも指摘しております通り、「アメリカ交換留学の受け入れ体制」は崩壊しています。
公立高校も、ホストも受け入れ側の悲観的不足により、世界的をキリスト今日に!と布教をめざすキリスト教団体が乗っ取ろうとしているのが現状です。
ちょうどその中にすっぽり入れられてしまった形ですね。
そのやり口の特徴は:
1.ホストや学校が出発ギリギリまで決まらない(受け入れ先がないからです)
2.ほとんどのケース、決定後すぐに出発させられる(現地のことなどリサーチし、文句を言われるのを避けるためかも)
3.受け入れ先は、アメリカの小さな町の小さな規模のキリスト教系学校 (留学生をキリスト教に改宗することも目的)
4.学校のカリキュラムもキリスト教教義に基づいた狭い範囲であり、進化論など問題外。 クリティカルシンキング習得など不可能。
5.受け入れ先のない交換留学生を積極的に受け入れるので、留学生が団子状に増える
6.ホストはほぼ学校職員(それ以外にホストを探すのが難しい)
7.学校によっては、日曜日の教会、他の礼拝、ホストファミリーの宗教行事には強制参加という所もある(あなたの場合はちょっとだけラッキーでしたね)
今後へのアドバイス:
1.まずは斡旋団体と交渉することですね。
こんな学校では留学の意味がないということをはっきりと親から書面で伝えることも必要かと思います。
ただし、受け入れ先自体がない状況では、転校という選択しは難しいでしょうね。
留学費用をどの程度返金してくれるのかなど、契約内容を話し合うことが交渉の大きな部分になると思います。
(交換留学団体は返金を避けるため、妙な契約書に署名させることが多いですので、自分がサインした契約書をよく読み返すことも必要です。)
2.転校に関しては、カナダを検討されることをお勧めします。
現在のトランプアメリカでは、あなたの交換留学生としてもビザから次の選択肢に移るのはかなり困難だと感じます。
カナダの公立高校は個人の出願も歓迎してくれますので、直接意中の教育委員会留学プログラムにコンタクトを取ってみることがお勧め。
ただし、カナダ高校留学にも大きな問題がたくさんあることを認識しておいて下さい。
アメリカの宗教高校などとは比べものにならないほど自由な環境ですが、増えすぎた留学生の問題は変わりません。
それが現在の高校留学の末期的状況を生み出しています。
そんな「高校留学」の現状の中、カナダの公立高校に有意義な転校をするには高い英語能力を持っていることが必須です
そして、その英語能力をカナダの高校に強調し、留学生の取るESL(ELL)などではなく最初から正式なEnglishコース履修を認めてもらう交渉をして下さい。
であれば、かなり価値のある留学が視野に入ります。
3.アメリカのクリスチャンスクールを単に日本と同じと考え留学し、余りの宗教色の強さに衝撃を受けている高校生は他にもたくさんいると思います。
特にトランプが先導する「アメリカを白人とクリスチャンの国に戻そう!」洗脳により、アメリカのクリスチャン達の動きが過激になっている昨今、クリスチャンスクール留学は絶対避けるべきだと思います。
(ご自身がクリスチャンでない限り)
十字架を見てイラつくレベルになると危険ですね。
重ねてのご相談があれば直接ご連絡下さい。
このコラムの執筆専門家
- 大澤 眞知子
- (カナダ留学・クリティカルシンキング専門家)
- Super World Club 代表
カナダにいらっしゃい!
カナダ 在住。パンデミック後のNew Normal 留学をサポート。変わってしまった留学への強力な準備として UX English主催。[Essay Basics] [Critical Thinking] など。カナダから日本に向けての本格的オンライン留学準備レッスン・カナダクラブ運営。
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