
大澤 眞知子
オオサワ マチコグループ
アメリカ高校交換留学 - きな臭い影の存在
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今年になってからアメリカに交換留学中、留学中のご相談が4件ほどありました。
私はカナダ在住、カナダの高校・大学教育に首を深くまで突っ込みほぼ30年になりますので、いわばカナダ留学の専門ですが、出来る限りのリサーチを行いご相談に応じています。
具体的なトラブルをお聞きし、対応するため調べている最中に、どうもきな臭い現実に遭遇しました。
現在の所は仮説の範囲を出ませんが、いただいたご相談すべてがこの「きな臭さ」で説明出来ることに愕然としています。
アメリカへの交換留学に関しては、かなり前から問題が指摘されています。
天満まりこさんと仰る方が「交換留学被害者の会」を立ち上げ情報発信活動をしていらっしゃることには大いなる敬意を評します。
またブログでも「被害者の会」について詳細を載せていらっしゃる方もいます。
私自身も、AFSなどの交換留学被害にあった高校生から直接のコメントをいただき、それをコラムにて発表ました。
昨年3月の公開ですが、未だに非常に多くのアクセスをいただき関心の高さを感じています。
さて。
「きな臭い現実」とは。
昨今の交換留学には、アメリカのキリスト教団体が「布教」を目的に積極的に関与していると疑いを持っています。
日本で知名度のある交換留学団体なども、このキリスト教団体に依存しているのではと思える具体例に出会いました。
いただいたご相談すべてが、様々な交換留学団体からアメリカに送り込まれ、しかも留学先は小さな町のキリスト教系私立学校というのに大きな疑いを懐きました。
普通、交換留学というのは、授業料も滞在費も免除の形で安価に日本の高校生が留学出来るというのが謳い文句です。
しかし、私立キリスト教系学校へは授業料が必要で、余分の費用を払ったそうです。
ホストファミリーはボランティアと言われたらしいですが、生徒側は結構な費用を団体に支払っているケースが多いです。
アメリカへの高校留学で一番問題が突出しているのが最悪のホームステイ事情ですが、その肝心のホストファミリーも絶望的に不足し、交換留学団体を悩ませて来ています。
出発ギリギリまでホストが決まらないケースが当然のように発生しているのも、それを裏付けていると思います。
その結果、「ホストチェンジ」を願う留学生は「強制帰国させるぞ」との脅しもあるようで大きな問題です。
また、現地コーディネーターという人たちの質もかなり低級、留学生に性的アプローチをする輩もいる始末です。
もちろん、サポートはあってなきが如し。
そこに「お助けマン」として介入したのが、キリスト教系学校留学プログラムだと「きな臭く」感じています。
正式名は、
International Student Program | Association of Christian Schools
「留学生を送るプログラム運営者の方へ大きな力になりますよ」と、トップページで宣伝しています。
「世界中の生徒たちに、キリストの愛を広めるため」と、目的もはっきりと書かれています。
問題の多さにあえぐ交換留学業界を、「アメリカにやって来る留学生をキリスト教に導く」絶好の機会と見ているようです。
一番の宣伝文句は「信頼出来るホームステイ」を提供しますよと。
「どうやったらもっとホストファミリーを確保出来るか困っていませんか? 私達には安定した供給源がありますよ。」
ホストする留学生をキリスト教に導くという使命がありますので、ホストファミリーには事欠かないのかも知れません。
これから留学プログラムを始める方も、ぜひキリスト教学校に!と。
良質の私立高校をお探しならこのリンクをと書いてありましたので、クリックしてみました。
ずら〜と100以上のキリスト教系小規模学校が並んでいます。
もちろん、ご相談にあった留学先学校もすべてリストの中にありました。
場所柄も、人種の多様性は余りなく、保守的な白人人口がほとんどを占め、地域経済はかなり困窮しているのではと思える町のキリスト教系学校が多いです。
おそらく布教目的のホストにも収入が入り、学校にも収入があり、しかも布教活動という大義名分がありますのでにこやかに留学生を呼び込んでいるのかも知れません。
アメリカに交換留学希望のみなさん、留学目的はアメリカのダイナミズムの中でたくさんの経験をすること、ですよね。
多様な考え方に接し、将来に役立てる、ですよね。
キリスト教を極めるために留学するわけではないと思いますけどね。
(元々の信者の方や、キリスト教に大きな興味のある方は別として)
2020年の大統領選挙に向けてトランプ支持者がどんどん過激化することが予想されていますが、その中でもEvangelicalsと呼ばれる宗派の人たちは相当右寄りに動いています。
白人至上主義にも近く、日本の自由さから見ると驚愕です。
(リストにあった学校にはEvangelicalもかなりありました)
そんな影響を受けるために留学しますか?
しかも、交換留学団体はほとんどの場合、留学先希望は聞いてくれません。
団体の言うまま、聞いたこともない田舎の町のキリスト教系学校に送られます。
全くもって納得いかない「交換留学団体」の実態です。
でもね。
キリスト教系学校留学プログラムのホームページから直接申し込めば、地域も学校も選べそうですよ。
もし、アメリカ留学の目的が「キリスト教を学ぶこと」であるならば。
例えば、Math & Scienceなどに特化した所もあるようです。
キリスト教の規制があるので、どんなScienceカリキュラムなのかは不明ですが。
非常に不可解な「きな臭い現実」だと思います。
アメリカの高校の交換留学。
Watch Out!
[後述]
相談をいただいたうちの3件は、カナダの高校への転校可能性を考えていらっしゃいました。
カナダ側に入学を許可されれば、もちろん転校は可能でしょうが、もとの斡旋団体の協力が得られず困ることが多いようです。
また、学力的にも、カナダに転校すればまた1から出直しとなることが多く、スタートラインからのやり直しとなる可能性が高いです。
それでも何かの突破口をと、切実な悩みを抱えていらっしゃる方にはご相談に応じております。
ご連絡下さい。
カナダからお答え致します。
Canada Club(New Normal 大学・高校留学)
「カナダ高校留学実態総集編」eBook ダウンロード
「クリティカルシンキングがわかる」eBookダウンロード
日本人のためのエッセイ・クリティカルシンキング学習サイト UX English
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