- 大澤 眞知子
- Super World Club 代表
- カナダ留学・クリティカルシンキング専門家
答えても答えてもキリがないほど「高校留学」の相談が続きます。
現在留学計画中のみなさん、現実は甘くはありませんよ。
【質問】
17歳で2017年の8月からアメリカに1年間の高校留学をしており、来月帰国予定です。 あと少し、というところでホストファミリーに耐えられなくなってしまいました。 私のホストファミリーは、両親、ホストシスター4人(高校生が2人、小学生が2人)です。 7歳のホストシスターからの色々な嫌がらせが続いています。私の髪を切る 私がトイレにいるのに入ってくる 私の部屋を汚す 殴ってくる 私のスマホを勝手に使う など)とにかく容赦が無いのです。 流石にホストに相談し、一時期改善されたもののやはりダメなようです。私は一人っ子で、いきなり姉妹が増え 子供への接し方が分からずその子に対してきつく叱ることが出来ません。英語での良い叱り方も分からないですし... コーディネーターにも助けを求めましたが、状況は悪化しています。 チクったことを悪く取られてしまいました。
そして、留学生は月に2回までしかホストのベビーシッターをしてはいけないという規則があるのですがホストはそれを知りつつ毎日のように私に子守をさせます。子守をしたくないなら外出しなさいと言われますが、ここは田舎の町で皆が幼稚園からの幼馴染ばかりで週末すぐ連絡して迎えに来てくれるような友達は出来ませんでした。 自分の部屋から出て来るなともよく言われますが、心が休まる時間も場所もありません。 ホストファザーもとても気性が荒く 家に帰ると怒鳴っているような状態です。 外面はとても良いです。私自身理不尽なことで怒られ、無視され命令され声をきくだけで怖くなってしまいました。 ですが、ホスト全体で見ればいい家庭で 送り迎えもしてくれます。
あと3週間で帰国ですが、もうすぐ学校が終わり夏休みに入るのでずっと家にいることが耐えられるか分からなくなってしまいました。 昨日またホストに相談したのですが謝る気配もなく、なんだか私が相談したことによりより気まずくなってしまった気もします。 コーディネーターは我慢することは無い。後の数週間でも貴方の気持ちが楽になるならホストチェンジを、と提案してくれています。 だけどもしホストチェンジをしたとき、ファミリーはどう思うのか?私は逃げたのか?と色々なことを思ってしまい、中々踏み切れずにいます。
【回答】
よく9ヶ月我慢しましたね。
守ってくれる親のいない国で、未成年がこんなホストと過ごす留学は余りにも悲惨です。
幸いなことに、コーディネーターがホストチェンジをしてくれるのなら、絶対すぐにでもこの家族を出るべきです。あなた自身の尊厳にも関わりますからね。
カナダ在住です。
30年近くに渡り、高校留学の裏を目撃し、立ち上がり、SOSに対応したことも多々あります。
あなたからの相談には、実は「高校留学」の醜い陰の部分がすべて含まれていると思います。
もちろん、留学前には、エージェントも、受け入れ側もそんなことは口が割けてもいいません。
夢のようなバラ色留学を描いて相談に来た高校生に、「実態はこんなに悲惨です」などと言ったら儲けがなくなってしまいます。
今もまだ「非現実的なバラ色留学」を夢見ている日本の親子への警鐘として、あなたの経験を大いに広める必要があると感じます。
〈高校留学の隠された実態)
1.ホストファミリーの質は最悪レベルに達しています。
絶対数の不足から、ホームステイ費目的の家族しかなり手がないのが実態です。
カナダでは、圧倒的な確率で移民家庭が経済困窮からホストファミリーになります。
アメリカも同様ですが、現在のアメリカの貧困率は驚くほど高いので、経済発展からおきざりに去れ、仕事も老後も医療保険からも見捨てられた下層階級の白人家庭が、もちろんお金を目当てにホストに名乗りを上げるようです。
(2016年のデータでは4千万人以上のアメリカ人が貧困状態にあります。)
感情的な父親、躾のなってない子供など、そのような白人家庭に多く見られる家族風景だと感じます。
おそらく教育レベルも低く、日本などにも全く興味はなく、勉強しに来た留学生のことなど理解する能力もない場合が多いです。
ベビーシッター代わり、メイド代わりなどは頻繁に耳にする問題です。
食事のことは書かれてないですが、毎月払うホームステイ費に見合うような健康的でバランスの取れた食事は摂れていないのではと思います。
送り迎えはしてくれるとのことですが、それだけにすがって「いいホストだ」と自分に言い聞かせているようで、かなり追い込まれた心理状態だと感じました。
幸いなことに、コーディネーターがあなたの側でホストチェンジ可能とのこと。
普通は、チャンジなどとんでもない、変えるホストもないし、我慢を強いられるのが実態ですから。
ただし、変わったホストが必ずしもBetterなホストである保証はないと思います。
実態を知ることなく、自分でも調べることなく海を渡ってしまった結果として、受け入れるしかないですね。
2.高校留学で「現地の友達を作る」との希望も、非現実的です、残酷ですが。
相談者の留学中という小さな町では、全く指摘同様、幼い頃から一緒に育っているグループに入る隙間はありません。
英語が普通に出来、クリティカルシンキングを使った会話ができれば話は少し変わりますが、まず難しいです。
スポーツなどに参加するのがベストの方法ですが、それでもその活動内でのみの付き合いで終わります。
大きな街でも状況はほぼ同じです。
留学生が団子状につるんでいることが多い大きな高校では、現地高校生が留学生と交わることは、まずありません。
英語も出来ず、共通の話題もない留学生には、興味は持ってくれません。
友達作りへの一番の大きな障害は、「親がいない」ことです。
友達付き合いはMutual(お互い)の関係が必要です。
親同士も知り合いになり、高校生同士の友人関係をサポートしてくれるのが普通です。
食事に呼ばれたり、呼んだり。
それの出来ない留学生は、本当の意味では現地の高校生やその親には信用されない存在です。
これが現実です。
トランプのアメリカは、ますます状況が悪化していますね。
今朝もマックの駐車場でハンバーガーを食べていたエジプト人留学生が、白人男に「お前の汚い国に帰れ!アメリカで食事する権利はお前にはない!」とナイフとスタンガンで脅されていました。
そんな事にも巻き込まれないよう周りに注意し、残りのアメリカ生活が、少しでも有意義になりますよう、応援しています。
Good Luck!
このコラムの執筆専門家
- 大澤 眞知子
- (カナダ留学・クリティカルシンキング専門家)
- Super World Club 代表
カナダにいらっしゃい!
カナダ 在住。パンデミック後のNew Normal 留学をサポート。変わってしまった留学への強力な準備として UX English主催。[Essay Basics] [Critical Thinking] など。カナダから日本に向けての本格的オンライン留学準備レッスン・カナダクラブ運営。
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