- 池見 浩
- 消費者考動研究所 代表
- 東京都
- 消費生活アドバイザー
対象:消費者被害
- 遠山 桂
- (行政書士)
- 大岡 辰昇
- (行政書士)
こんにちは。消費者考動研究所/消費生活アドバイザーの池見です。
(その2からの続き)
Q9 クーリング・オフの通知を出せば、何も言わなくとも業者から代金が返ってくるのかな?
A9 実務上は、業者に連絡して返金方法などの打ち合わせが必要です。
クーリング・オフが成立すると、法的には契約が解除され、事業者には返金と原状回復の義務が発生します。もちろん、消費者にも返品の義務が発生しますが、返金・返品にかかる費用は事業者負担です。
但し、いつ、どのように返品・返金処理を事業者が行うのかについては、通知を発信した時点で、事業者としっかり打ち合わせすることが大切です。
なお、事業者が口座振込での返金を希望した場合、自分の金融機関口座番号を教えることになります。相手があまり信頼できないような事業者の場合、悪用されるリスクを伴いますので、注意が必要です。
既に契約書などに住所を記入していて相手に知られている場合は、可能な限り現金書留での返金を交渉しましょう。クレジットカードの一回払いで代金を支払っている場合は、契約先の事業者に、いつまでにカード会社へ赤伝処理するのかを確認し、カード会社にもその事を連絡しておきましょう。
なお、現金振込の手数料や書留の送料も事業者負担です。仮に事業者が「それは消費者の負担だ」と主張した場合、クーリング・オフ妨害や虚偽説明にあたる可能性があります。相手の話すことに不安や疑問を感じたら、必ず消費生活センターに相談してください。
Q10 訪問販売で契約した教材が届き、宅配便の梱包を開けてしまいました。クーリング・オフできる?
A10 はい。できます。
訪問販売のクーリング・オフは、「契約の無条件解除」です。開封しても、教材に文字を書き込んだとしてもクーリング・オフは可能です。但し、健康食品や化粧品・洗剤、コンドームなど、法律で使用すると価値が無くなると決められているものについては対象外になります。
なお、クーリング・オフとは異なりますが、通信販売などで「開封済みは返品不可」と取引条件に記載されている場合が良くあります。この「開封済み」とは、商品自体の包装を開けた場合という意味です。宅配便の段ボールや袋は、開けないと中身を確認できませんので「開封済み」にはなりません。
Q11 クーリング・オフするって業者に電話したら、通知は送らないでいいと言われました。本当に送らなくてもいいの?
A11 いいえ。それでも書面で通知してください。
一部の専門家の間では、口頭で通知してもクーリング・オフが有効になるとの意見があります。しかし、法律の条文には書面で通知すると書かれています。「言った・言わない」のトラブルを避ける為にも、必ず書面で通知しましょう。
Q12 クーリング・オフの通知は、ハガキと内容証明郵便のどっちがいいの?
A12 基本はハガキで十分です。
クーリング・オフの場合、たとえ事業者が「受け取っていない」と主張しても、クーリング・オフ期間内に発信したことが証明できれば成立します。成立の条件に、相手に届いたかどうかは関係無いからです。その為、ハガキで作成し、送る前に両面コピーして控えを保存し、郵便局の窓口に行って、発送日を証明してくれる「特定記録郵便」で出せば事足ります。
但し、相手に返金先の口座番号などを通知と一緒に知らせる場合は、ハガキだと口座番号が丸見えになってしまいます。便箋・封筒を使い、控えを保存した上で、特定記録郵便や簡易書留で送ります。
また、後々何か問題が起きる可能性があるような相手に送る場合には、まれに内容証明郵便を使う場合もあります。どの方法が良いかについて悩む場合は、消費生活センターに相談しましょう。
クーリング・オフ期間が過ぎたとしても、契約条件や勧誘内容に問題がある場合には、別の法律や制度を使ったり、お互いに和解したりして解約・返品・返金ができる場合も多々あります。あきらめずに、最寄りの消費生活センターへ相談してください。
<参考 クーリング・オフ通知ハガキの記入例>
宛名面 裏面
Q13 気が付いたらクーリング・オフ期間が過ぎていました。もう解約できない?
A13 別の方法で可能な場合もあります。
解約=クーリング・オフではないので、期間が過ぎたとしても、契約条件や勧誘内容に問題がある場合には、別の法制度や互いの合意によって解約・返品返金ができる場合も多々あります。あきらめずに、最寄りの消費生活センターへ相談してください。
クーリング・オフと一口に言っても、実はいろんなケースと対処方法があります。また、契約書が法定書面として正しいかどうかなどは、なかなか判断付かないこともあります。「クーリング・オフしたい」と思ったら、あまり自己判断はせずに、迷わずお近くの消費生活センターに相談なさることをお勧めします。
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
このコラムの執筆専門家
- 池見 浩
- (東京都 / 消費生活アドバイザー)
- 消費者考動研究所 代表
消費生活の専門家が消費者教育・啓発や消費者志向経営をサポート
消費生活アドバイザーは、消費者・企業・行政の懸け橋として、法律、生活知識、消費者志向経営や環境問題まで幅広い専門知識を持つ消費生活の専門家です。企業・自治体等で培った豊富な実務経験とノウハウで、貴方の消費者力UPと企業活動をサポートします。
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