ニセ税理士行為により逮捕者 - 会計・経理全般 - 専門家プロファイル

平 仁
ABC税理士法人 税理士
東京都
税理士
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ニセ税理士行為により逮捕者

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雑感 業務その他
無資格で税理士業務をしたとして、警視庁公安部は27日、
税理士法違反の疑いで、朝鮮総連傘下の在日本朝鮮東京都新宿商工会の
元副会長、徐英男容疑者を逮捕し、在日本朝鮮商工連合会などを家宅捜索した。
徐容疑者は、容疑を否認し、「税務処理の手伝いをしただけだ」と
供述しているという。(時事通信2008年11月27日11:30記事)

公安部によると、徐容疑者は副会長時代の06年3月、税理士資格がないのに、
同商工会会員の飲食店主が税務署に出す確定申告書を作成した疑いがある。
飲食店主はこの申告内容に関して国税当局から脱税容疑で告発され、
07年に罰金刑を受けた。その際、徐容疑者も国税当局から任意で
事情を聞かれたという。
同商工会は、会員が税務書類を作成したり、申告したりする際に助言するほか、
起業や財務管理などの経理業務、経営などについての相談に応じている。
(asahi.com 2008年11月27日11:20記事)


状況からすると、組織ぐるみでニセ税理士行為が行われていたようですが、
本人たちにニセ税理士行為であるという意識があったかどうかは疑問ですね。
実際に、青色申告会を始めとする税務関連支援団体の活動を鑑みるに、
税理士が関与せずに税務指導まで行っている実態があるように思われる。

わが地元、葛飾に関しては、税理士会との関係が良好で、
青色申告会における会員への確定申告相談会には、税理士会から必ず
税理士を派遣して、その指導監督の下に、税務支援が行われており、
税理士法違反の疑いは限りなく少なくなっている。
この点には、諸先輩方のご努力の賜物であると感謝するところです。

しかし、他の地域には、税理士会と関係諸団体との関係が上手くいかず、
相互協力体制がまったくできていないところもあると聞いています。

この点について、税理士法2条は、以下のように規定される。

(税理士の業務)
第二条  税理士は、他人の求めに応じ、租税(印紙税、登録免許税、
関税、法定外普通税、法定外目的税その他の政令で定めるものを除く。)
に関し、次に掲げる事務を行うことを業とする。
一  税務代理(税務官公署に対する租税に関する法令若しくは行政
不服審査法の規定に基づく申告、申請、請求若しくは不服申立てにつき、
又は当該申告等若しくは税務官公署の調査若しくは処分に関し税務官公署
に対してする主張若しくは陳述につき、代理し、又は代行することをいう。)
二  税務書類の作成(税務官公署に対する申告等に係る申告書、申請書、
請求書、不服申立書その他租税に関する法令の規定に基づき、作成し、
かつ、税務官公署に提出する書類で財務省令で定めるものを作成することをいう。)
三  税務相談(税務官公署に対する申告等、第一号に規定する主張
若しくは陳述又は申告書等の作成に関し、租税の課税標準等の計算に
関する事項について相談に応ずることをいう。)
2  税理士は、前項に規定する業務のほか、税理士の名称を用いて、
他人の求めに応じ、税理士業務に付随して、財務書類の作成、会計帳簿の
記帳の代行その他財務に関する事務を業として行うことができる。ただし、
他の法律においてその事務を業として行うことが制限されている事項
については、この限りでない。
3  前二項の規定は、税理士が他の税理士又は税理士法人の補助者
としてこれらの項の業務に従事することを妨げない。

また、この趣旨については、税理士法基本通達2−1に規定されている。

(税理士業務)
2−1 税理士法第2条に規定する「税理士業務」とは、同条第1項各号に
掲げる事務を行うことを業とする場合の当該事務をいうものとする。
この場合において、「業とする」とは、同項各号に掲げる事務を反復
継続して行い、又は反復継続して行う意思をもって行うことをいい、
必ずしも有償であることを要しないものとし、国税又は地方税に関する
行政事務に従事する者がその事務を遂行するために必要な限度において
これらの事務を行う場合には、これに該当しないものとする。

つまり、税理士法は、税務代理、税務申告書の作成、税務相談について、
有償無償を問わず、税理士による無償独占を定めており、昭和55年の
税理士法改正において、このことが確認されています。

したがって、昭和55年改正前は、無償独占が確立されていなかったため、
従来から税務相談を行っていた団体においては、改正後は、税理士の
指導監督の下でなければ、税務相談が出来ないことになっっています。
しかし、現実には、ごく最近まで税務署も、こういった税理士法違反行為
については、黙認していたようですし、今回のケースでも、警察が
動いたのは珍しいな、という感じがします。

今回は脱税事件に絡んでのことではありますが、一生勉強し続けなければ
プロフェッショナルのレベルが維持しにくくなっている現状では、
規制強化(正常化というべきですが)をせざるを得ないでしょう。

税理士業界の繁忙期に入る直前の現時点で、今回の逮捕劇。
業界の正常化の役に立てなければならないですね。