実は両者には決定的な違いがあります。
土地は所有すると日本に革命でも起こらない限り半永久的に残ります。建物はどうでしょう?建物は人間の造ったものですからメンテナンスを怠ると崩れてカタチが無くなってしまいます。日本では建物の価値は減価償却の残年数と同様のカーブを描いて減っていきます。
これは物理的な強度をもって算定するだけでなく、生活様式の変化による使い難さ等も算定の対象となります。木造住宅で22年・鉄筋コンクリート製のマンションでも47年ぐらいが不動産的価値の限界とされています。
つまり、土地は老朽化した建物を解体撤去すれば、また新品に戻り何度でも使いまわしが効く財産なのに対し、建物はいずれ資産価値がゼロになってしまうのです。
そう云うものに愛着が沸くでしょうか?
マンションや建売住宅も新しいうちは見た目も良く、住設機器も最新の流行のものが羅列されています。しかし数年もすれば次々に新製品が発表されて、色褪せたものになってしまいます。しかしローンはそれからまだ20年以上も続くのです。
土地は正しく【買う】商品ですが、建物は【買う】のではなく、【建てる】意識を持ってください。一つ一つ自分達に合うものを吟味し流行に流されない、住まう貴方自身に特化した建物を建てるべきです。自分自身為の家にする。つまり不変の価値をその家に求めないと、永年支払い続けなければならないローンがただの苦痛になってしまうのです。
自分で建てたと云う意識が建物を愛着のあるものに替え、住まう年月を経るに従って家族に馴染んだ良い家になって行くでしょう。
中には転売するときに、当たり障りの無い間取りにしておかないと売れ難いとお考えの方もいらっしゃいますが、売る時点でそっくりそのままの形で住んでくれる人なんていません。自分流に改造して住まわれるでしょう。建物は【建てる】と云う意識と、【自分流】を貫くと云う気構えを忘れなければ幸せになれます。
このコラムの執筆専門家
- 福味 健治
- (大阪府 / 建築家)
- 岡田一級建築士事務所
木造住宅が得意な建築家。
建築基準法だけでは、家の健全性は担保されません。木造住宅は伝統的に勘や経験で建てらていますが、昨今の地震被害は構造計算を無視している事が大きく影響しています。弊社は木造住宅も構造計算を行って設計しています。免震住宅も手掛けています。
06-6714-6693
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