私は評論家では無いので、“定額給付金”そのものについては論評しませんが、この事務処理にかかるコストという面に着目すると、通常の税金還付の手続きから外れて現金で処理しようとしていることが、コストを押し上げている一番大きな要因であると思います。それほどのコストをかけてまで、通常の手続きから外れた方法で、現金で処理する意義があるのかということになります。
企業においても、この手のことはよくあります。手間をかける意義がわからない指示が下りてきたり、決裁や判断、その他事務処理を先延ばししたシワ寄せが現場に行ったり、経営者や管理者の朝令暮改で手戻りになったり。
マネジメントにおいて、臨機応変さは絶対必要ですが、それによって発生する事務処理コストを経営者や管理者がきちんと把握した上で、総合判断しているケースは案外多く無いように思います。これを把握するためには、現場で行われていることは細かな事務作業の類であっても、経営者や管理者自身がある程度知っておく必要があり、やはり現場視点が重要だということになります。
もう一点、新たな事務処理コストが発生する時、その意義が理解されていないと実際に作業する現場のモチベーション、やる気は確実に落ちます。これは組織全体の生産性が落ちることを意味します。
今、市町村の事務担当者は「なぜこんなやり方をしなければならないのか」とため息をつき、やる気を失っている人がたくさんいると思います。自分たちの会社はそうならないように、経営者や管理者は心に留めておく必要があると思います。
このコラムの執筆専門家
- 小笠原 隆夫
- (東京都 / 経営コンサルタント)
- ユニティ・サポート 代表
組織に合ったモチベーション対策と現場力は、業績向上の鍵です。
組織が持っているムードは、社風、一体感など感覚的に表現されますが、その全ては人の気持ちに関わる事で、業績を左右する経営課題といえます。この視点から貴社の制度、採用、育成など人事の課題解決を専門的に支援し、強い組織作りと業績向上に貢献します。
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