20名弱の企業で、8年間ずっと事務系正社員の求人を出し続けているが全く応募者がいないとのこと。業績は安定していて、給料や休日の待遇も一般以上であるのにどうしてなのか、「正社員になれない」という話を聞くが、有名かどうかなどで会社を選びすぎているのではないか、もっと視野を広げては、との内容でした。
この話を求職中の人にそのままぶつけても、たぶん「知名度なんかで選んではいないが、そう簡単にはいかない」というのだろうと思います。やはり埋もれた求人情報にはなかなか巡りあえないですし、仮に求人を見たとしても、それだけで仕事内容やどんな企業かを読み取り、自分にできる、希望に合う仕事なのかを判断し、応募まで決断するのは案外難しいことです。
「人材を求めても採用できない企業」と、「思った仕事に就けない働き手」という雇用のミスマッチは、今に始まったことではありません。ミスマッチ解消に向けた取り組みもいろいろなことがされています。採用イベントしかり、ウェブなどを利用した求人情報の共有しかり、職業訓練しかり。
これらの活動一つ一つにはそれなりに意味があって、いくらかの効果もあるのだと思いますが、やはり一番は、求人企業と求職者をいかに結び付けるかにかかっているのだと思います。
どんな不景気であっても人材を募集している企業は必ずある訳ですし、小さくても優良な企業はたくさんあります。ただ景気が悪い時期だったり、小さい企業であったりすれば、当然求人一件あたりの採用数は少ないですし、採用に使える経費にも限度がありますから、求人情報としての露出度は低く、一件あたりの情報量も少なく、なかなか目に付きづらくなります。結果として求人情報は埋もれてしまいます。
このような求人情報をうまく表に出すことができれば、多少なりともミスマッチ解消につながるように思います。小企業でも著名な就職サイトのトップ画面に広告が出せる、求人誌に見開きカラー広告が打てる、一定要件を満たせばそんな経費の補助が受けられる制度なんてどうなのか、思いつきですがそんなことを考えてしまいました。
このコラムの執筆専門家
- 小笠原 隆夫
- (東京都 / 経営コンサルタント)
- ユニティ・サポート 代表
組織に合ったモチベーション対策と現場力は、業績向上の鍵です。
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