建築:木材の話 - 住宅設計・構造設計 - 専門家プロファイル

中舎 重之
建築家

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対象:住宅設計・構造

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建築:木材の話

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          建築:木材の話

 「日本の家は、木と紙とで出来ている」と云われます。

木材は、日本では一番多く使われている建築材料です。       

木材の長所の第一は軽いと云うことです。 

木材の比重は1.0以下で水に浮きます。

例外として南方材のシタンとコクタンは1.0をわづかに越えます。

コンクリートが2.0、鋼材が7.8ですから大変に軽いのです。

木材は軽いわりには、大きな圧縮強さ、引張り強さがあります。 

コンクリートは圧縮強さは大きいのですが引張りには弱いのです。

鉄は引張りは強く、圧縮には弱いのです。 

鉄筋コンクリートはお互いに強い所を結合させて弱い所を補完した組み合わせになっています。 

強さは「コンクリートの圧縮強さ+鉄筋の引張り強さ」の合体です。 

弱さは「コンクリートの引張り弱さは鉄筋にて、鉄筋の 圧縮弱さはコンクリート」にて補完しています。


 木材の長所の第二は加工しやすい事です。

ノコギリやカンナ、ノミ等の簡単な道具で、容易に切り、削り、穴明けが出来ます。

接合する場合も釘打ち、ボルト締め、接着剤でOKです。

長所の第三は、熱伝導率が小さい事です。

コンクリートの10分の1程度ですから寒暖の変化を緩和してくれます。   

それと木材は生き物なので、湿気が多い時には吸収して保存し、

空気が乾燥して来ると放出する性質を持っています。

まさに日本の気候にぴったりの建築資材です。


 木材の欠点の第一は、燃えやすい事で、160度位で表面が炭化を始め、 

270度位で木炭ガスが出てきて燃え出します。 

欠点の第二は腐り易い事です。木材が腐る原因に水分があります。

シロアリが好む水分です。水分を遮断して乾燥した状態にすれば安全です。

今は水分を遮断して木が空気呼吸する優れた塗布剤もあります。

シロアリ等の虫害には、ヒバ、ヒノキ等が強く 建物の下部(土台)には採用して下さい。


 柱の話です。一家の生計を支える御主人の事を、「家の柱」とか「大黒柱」などと云います。

柱は日本の家屋では、  文字どうり家を支える重要な役割を果たしています。

但し在来軸組工法では、風や地震の横からの力には耐力壁   

(スジカイ、構造用合板)にて抵抗させます。 

古来から「四方より柱に戸の当たりたる構えあるは病難の因なり」とあります。

柱は弧独にさせず、柱+壁+柱のセットで使用して下さい。

柱の材質はヒバ、ヒノキが良いでしょう。            

スギを使うならば通常より5分(15mm)ばかり太い物を採用して下さい。


 梁の話です。梁には使われる場所や役割によって、名前が付いています。

屋根ならば小屋梁、陸梁、床ならば2階は床梁で1階は大引と言います。

隅を固めるのは火打ち梁です。 

梁は屋根や床の荷重を支えますので曲がりや「タワミ」を生じます。 

人が歩くと感じる「タワミ」は生活の上で不快と不安を喚起 しますので要注意です。 

曲げと「タワミ」に強い材料は、マツです。


以上です。  2014年6月  中舎重之

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