起業にあたってよく言われるのは、初年度の売上高が1000万円を超える場合、消費税の免税業者にはなれないので、あらかじめ会社組織にしておいた方が、経費などの点で節税効果が見込ることで有利とされます。また、取引先の関係で、中堅企業以上の大きな会社では、会社組織にしていないと取引をしてもらえない所がほとんどで、そこを考えると会社組織にしておいた方がよいとも云われます。
比較的順調に売上げを伸ばしている起業家の場合、起業当初は税務署に開業届けを出して青色申告でスタートして、売上げや従業員が増えた段階で会社組織に替えていくのが一般的です。ただ、起業当初の初期投資が高額な事業を行なう場合は、最初から株式会社での設立が圧倒的です。
ビジネスには、「収益額は初期投資額に比例する」という原則があって、一、二の例外を除くと、起業時の投資額によって、その後の利益の額もほぼ決まりますから、自営か会社設立かは初期投資額によっておのずと決まると思ってよいです。
ただわたしは、事業体の会社で商品が売れるから無闇に大きくすればよい、というものでもないような気がします。従業員を雇うということは、その人たちの生活を守らなくてはなりません。取引先が増えるというとこは、取引先に商品やサービスを提供し続けなければならない責任が生まれます。会社は、社会的な存在です。
起業家から、事業家へと成長するに従って、大きな責任が発生することになります。果たして、起業に際して自営業か会社設立かで悩んでいる人は、そこまで考えているのでしょうか? 多くの起業家は、現在は目先の事業を軌道にのせることばかりに集中していますが、軌道にのったとたんに直ぐこの問題に直面することになります。
そのとき、会社を大きくした方がよい人間と、小さいままの方がよい人間の違いは、難局に直面したときに逃げずに立ち向かえる人と、逃げてしまう人との違いです。現在は、難局と言っても、自分が食べることに精一杯で周りのことまで気が回らないかもしれませんが、事業展開が進むと絶えず難局はついて回ります。今からそのときのために準備をすることと、起業は誰もが出来ることではないことを考えておくべきです。
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