大発会の結果は、その年の経済と株価に大きな影響を与えます。ちなみに、最近20年をチェックしますと、こんなに大幅に下がった年は、08年リーマンショックの前触れがあった年、1999年世界的な金融危機の影響が残った年です。もし、アベノミクスが期待できるなら、こんなに下げることはありません。
株式投資の仕組みは単純で、将来の企業活動に期待できると予測しますと、投資資金が増え株価は上がります。多くの人が下がると予測しますと、株式を売りますから下がります。実体経済は、多くの人の予測に沿って動きますから、今年の経済は昨年のようには伸びないことが予測されます。
その根拠もはっきりしていて、安倍首相が唱えるアベノミクスの3本の矢は、2本までは機能しましたが3本目が飛ばずに消えました。経済の成長戦略が、中途半端な状態で知りきれトンボになっています。昨年夏に、「秋まではしっかりした成長戦略を」と言っていたのが、秋に近づくと「年内には」。先日は、「今年6月には」と引き伸ばしています。
このままでは、過去の内閣の二の舞になることは避けられません。女性の積極活用とか、農業改革、薬のネット販売など、パーツの話はでますが、本丸と言えるような、日本経済全体にインパクトのある話はでてきません。株価の大幅下落で、外国人投資家にノンと言われたようなものです。
もし、このままアベノミクスが失速しますと、大掛かりな異次元の金融緩和を行ってきただけに後処理がたいへんです。消費税増税をした後に、インフレが進んでいます。物価上昇が始まっている中で、長期金利をゼロのままに抑えることは難しくなります。マクロ経済に詳しくなくても、インフレで資金需要が高まりますと、長期金利が上昇することは判ります。
1千兆円に及ぶ国の借金を支えているのは、0.7台で留まっている長期金利です。この金利が上昇を始めますと、一気に予算に占める国債費が膨らむことになります。日本の財政にとっては最悪のパターンです。そう考えますと、安倍首相は経営者に賃上げを頼むよりも、成長戦略を早く掲げることで企業が投資しやすい環境を作ることです。
起業家は、国に景気をよくすることをお願いするより、自社の好景気を作ることができる立場です。極端なことを言うと、日本経済が倒れそうなときでも、自社の商品だけにはお客さんを集めることが可能です。危ないアベノミクスを頼りにしないで、自分の力で売上げを増やすことを考えるべきです。
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