- 西野 泰広
- REPsコンサルティング レップスコンサルティング 代表
- 埼玉県
- 経営コンサルタント
対象:経営コンサルティング
- 戸村 智憲
- (経営コンサルタント ジャーナリスト 講師)
「食材の虚偽表示問題」から見えてくる企業の体質や風土。
有名なホテルやデパートなどで次々と表面化する“メニュー表示と異なる食材”を使用していた問題は、
消費者庁の立ち入り検査やメディアの取材で全容が明らかになってきました。
≪主な虚偽表示問題≫(優良誤認の疑い)
メニュー表示 使用食材
・芝エビ → バナメイエビ
・車エビ → ブラックタイガー
・伊勢海老 → ロブスター、アメリカイセエビ
・牛肉ステーキ → 牛脂注入加工肉
・京ねぎ、九条ねぎ → 白ネギ、青ネギ
・有機野菜 → 農薬栽培野菜
・手ごねハンバーグ → 既製品
・旬鮮魚 → 冷凍魚
など、次々と出てくる。
なぜこのような問題が起こったのでしょうか。企業の責任者は、メニュー表示の食材は手に入らなかった
から「つい使用してしまった」や食材の担当者・料理人に 「知識が無かった」「認識が甘かった」などと
釈明していますが、虚偽表示の多くは数年前から行われていることから確信犯であると言わざるをえな
い状況です。
・ “つい使用してしまった” → 数年間も“つい”が続くことはありませんよね!
・ “知識が無い” → 食材の仕入れ担当者は、食材仕入業者と直接仕入れの値段交渉を行うはず
です、知識がなければ値段交渉など出来ません。 また、料理長がブランド食材
の違いがわからないことなどありませ。 もしわからなければ料理長失格です!
異なる食材である認識があったことは、食材納入業者を調査すればわかります。
では、何がそうさせたのか。 この原因がわからなければ「問題の改善」は出来ません。
“認識が甘かった”、この釈明にはうなずけます。
・食材の違いは消費者にはわからない。
・味が良ければ全てよし。
・何があっても他社には負けられない。
・目先の利益も確保したい。
・意見を言えない、意見を聞かない。
このような企業体質や風土が職場内に蔓延していたことの結果が、 “食材の虚偽表示に繋がった” と
私は考えています。 言い換えれば 「利益最優先の企業体質」 と言えます。
消費者もこのことに気づいたはずです。
また、消費者(利用者)はどのような被害を被ったでしょうか。
このことが理解出来なければ「失った信頼/信用の回復」は出来ません。
≪消費者(利用者)が被った被害≫は、
(a)メニュー表示を信用し適正な価格の支払いをした(表示価格の信用)
(b)ブランド(企業と食材)を信頼し食事をした(ブランドの信頼)
利用者はこの二つ(a、b)を同時に裏切られた最大の被害者です。
“楽しかった食事の想い出” も嫌な思いに変わり記憶に留まると思います。
このような消費者の思いを、当該企業の責任者は一様に「利用されたお客様に代金返済」で解決しよう
としていますが、これは単なる実害への救済にすぎません。「裏切られた思い」に対し、どのように対処
するのでしょうか?
この対処行動こそが失った「信頼」「信用」を回復させ、ブランドを守ることに繋がります。この行動は
最初に行った企業ほど信頼・信用の回復効果が高く消費者に好意的に受け取られます。
どのような行動が示されるか、消費者は期待を持って見ているはずです。
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