企業不祥事は起こるべくして起こっている  1/2 - リスクマネジメント・BCP - 専門家プロファイル

西野 泰広
REPsコンサルティング レップスコンサルティング 代表
埼玉県
経営コンサルタント

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寺崎 芳紀
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(経営コンサルタント)
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閲覧数順 2024年04月24日更新

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企業不祥事は起こるべくして起こっている  1/2

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企業のリスクマネジメント マネジメント手法

【会社を守る因果の法則】

 企業不祥事の多くは偶然ではなく、起こるべくして起こっています“必然”です。そのため必ずと言って
いいほど不祥事に繋がる前兆現象があります。その現象を捉えることが出来れば発生リスクを大きく低下
させられます。

■まずは因果の法則について説明いたします。
 因果の法則とは「ある結果に至るには、それに至る要因や原因が必ずある」ことを示す “結果と原因の
 法則” です。
 くどくなりますが不祥事が起こるには、起こりうる要因や原因が存在し、その要因や原因を究明し問題
 となる部位を変化させなければ抜本的な解決には至らず、再び同様の不祥事が起こると言う法則です。
   (起こっていない企業があるならば、たまたま起こっていないだけで何時起こっても不思議ではありません)

 企業の不祥事対応をみると、問題の究明が進み真っ先に見えてきた問題部位に目が行き、その問題を
 改善したことで終わりにし、これで不祥事は起こらないと考え違いをされているように思われます。
  *不祥事を度々起こす企業がこれにあたります。直ぐに10社くらい思い浮かびます。

 問題となった部位は目に見える形として現れ大きく注目されますが、不祥事が起こった真因の多くはこ
 の部位とは異なるところにあります。 真因は往々にしてわかりにくいものです!

 問題を引き起こした真因の分析手法の一つに “なぜなぜ分析” がありますが、この手法は論理的に結び
 つく要因を提示し、それに対し「なぜ」起こったかを提示し、また提示に対して「なぜ」起こったかを
 提示します。これを5回繰り返すとやっと真因が見えてくると言う分析手法です。 
 5回繰り返すと言うことは、発生に結びつく要因は少なくとも5つあることになります。一つをつぶし
 ても、結果に至る要因はまだ多く残っています、この全ての要因を変化させない限り再発は防げません。

理解いただくために事例で説明いたします。
≪事例≫
 ■  会社の機密資料を他の会社に100万円で売っていたA従業員がいました。

  (1) 現象面でみれば、直接の原因であるA従業員を処罰することで解決しますが、
      結果に至る要因は下記のように複数存在します。

 ■ 発生に至る要因
  (2) 「処遇」や「待遇」への不平や不満
  (3) 上司のパワハラ
  (4) きつい売上ノルマ(能力以上の過剰ノルマ)
  (5) 肌に合わない社風(体育会系/文化系/学者系の気質)
  (6) 会社の資質(非コンプライアンス体質)
  *思いつく要因を上げてみましたがこれが全てだとは限りません、まだ隠れているかもしれません。

上記事例の
  「課」は、A従業員が会社の機密資料を100万円で売った。
  「因」は、(2)~ (6)のどれかです。

要因とはA従業員固有の問題ではなく “多くの従業員に係わる会社の問題” と、捉えることが重要です。
会社問題として捉えることが出来れば、上記(2)~(6)は会社が抱える不祥事リスクとして顕在化させ
可視化できます。このような状況になれば同様の不祥事再発リスクは大きく低下したと言えます。

では平時はどうでしょうか、不祥事が起こっていないので「課」はありません、この状況で「因」を見
つけだすのはとても厄介で労力を要します。そのため要因があったとしても気づかず放置した状態に
なってしまいます。 これがタイトルに書きました “企業不祥事は起こるべくして起こっている” 要因の
一つです。

放置状態を変えるには「因」を探し出す動機が必要です。社会問題となるような大きな不祥事がいきな
り出ることは極稀で、多くの場合は前兆である小さな不祥事が水面下で数回起こっているはずです。
この時点で問題となる要因を見つけ出し変化させれば大きな不祥事の発生低下に繋がります。

★  要因を見つけ出す = リスクの把握です。

要因を見つけ変化させるには、変化させなければならない “思い” が必要です。 その思いとなるものが
「リスク評価」です。この要因は “会社の危機に繋がるので防がなければならない” このような思いが生
まれなければ変化させる行動には繋がりません。

★  変化させる行動 = リスク評価で決まる

不祥事リスクを低下させるのに必要なのは、正確な「リスク把握」「リスク評価」です。
そのために必要なのは想像力を働かせ予測することです。 

上記の事例で言えば、(2)の不平/不満を持った従業員がどのような問題を起こすかは、あるていど
想像が出来るはずです。

・(2)は、贈収賄、詐欺行為、癒着、カラ出張...等
・(3)は、精神障害、事故、事件...等
・(4)は、虚偽報告、架空発注、データ改ざん、不正契約、事実の隠蔽...等
・(5)は、脅迫/窮迫、強要、差別...等
・(6)は、インサイダー、カルテル、談合...等

◆  想像力が働けば、正確なリスク予測や評価ができ、リスクの低減が可能となります!

 

上記のような不祥事事案は社内共通の事案ですので最終のリスク評価が会社としての評価となり、
他部門から異論が出ることはありませんが、リスク評価が社内で分かれることがあります。
このような事案には組織と仕組みで対処しなければ解決できません。
次回は社内の組織や仕組みで対処する方法についてお伝えします。

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