埼玉県熊谷市と岐阜県多治見市で記録した、40.9℃が国内では過去最高の気温でした。ここで気になったのが、07年の最高に暑い夏以降、日本経済はどんな具合だったのか、気になりだしました。暑い夏と寒い冬は、その後の景気がよくなるとは、昔から言われてきたことです。
07年の後半といいますと、皆さんの記憶に残っているのは食品賞味期限問題が続発した年です。「白い恋人」から始まって、「赤福」、最後は「船場吉兆」が登場してマスコミを賑わせました。大半が、従業員の内部告発によって明るみに出た騒ぎですが、猛暑の夏と無縁ではないように思います。
原油価格が1バレル100円をつけたのは08年1月。07年後半は、どんどん原油が上昇していた時代です。この時期、中国、インド、ロシアなどの新興国が急速に経済成長を遂げていた時代で、日本経済は新興国に引っ張られるカタチで07年前半は経済が伸びました。
しかし、猛暑の夏が過ぎますと、改正建築基準法の影響による住宅着工の減少、サブプライム住宅ローン問題に端を発するアメリカ経済の減速などにより、勢いは徐々に弱まってきています。特に個人消費に力がなく、夏の暑さが過ぎて陽気が涼しくなるにつれて、この国の景気も寒くなってきました。
07年4-6月期の法人統計によりますと、企業の売上高経常利益率は4.5%と、1973年4-6月期の4.3%を上回って過去最高した時期です。07年前半に企業利益は最高でした。企業の損益分岐点比率も78.5%で、73年7-9月期と同じで、34年ぶりの歴史的な低さです。
ところが労働分配率が61.3%と前年同期比で0.6%低下しています。企業は、最高の利益を上げていながら、そのお金を配当や役員賞与、内部留保に回したため、消費マインドの急激な悪化を招きます。夏の暑さの中で、企業経営者は自分の懐のことばかりを考えたのかもしれません。
今年の暑い夏を通り過ぎ、秋以降の日本経済はどうなるのでしょうか。はっきりしていることは、07年のように利益を従業員や取引先に回さず、内部で溜め込んだら再び失速することは確かです。それでなくても日本と言う国は、政府が膨大な借金をしているのに、大企業は多額の内部留保を溜め込む、企業優先の国ですから。
【一言】
14年4月に消費税を上げるか、どうするか判断する時期が迫っています。既に、G8でも国際公約で引き上げを宣言していて、今更上げませんと言うわけにはいきません。円ドルレートで円安誘導もしていますから、安倍首相が引き続き首相を続けようとするなら、消費税増税は既定の事実です。猛暑がどのように消費増税に影響するのか、国民心理とも係わって読みづらい展開が続きます。
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