
- 塚本 有紀
- フランス料理・製菓教室「アトリエ・イグレック」 主宰
- 大阪府
- 料理講師
対象:料理・クッキング
- 黄 惠子
- (料理講師)
7月の料理連続講座にて(後編)
主菜
仔鳩とフォワグラのシャルトリューズ仕立て、トリュフの香り pigeonneau et foie gras en chartreuse a la truffe
フランス産仔鳩を使います。胸肉はシャルトリューズ仕立てに。腿肉はコンフィ、手羽は網焼き。肝はソテーに。つまり1つの食材をいろいろな料理法で展開するデクリネゾンdeclinaisonのスタイルにします。
デクリネゾンとは「語尾変化」。
「昔、古文で『あり、をり、はべり、いまそかり』ってありましたけど。なんかそんな感じかしら・・」意味が少しでも伝わりやすいように、と思い付きで言ってみたのですが、肝心な私が「でもそれって何だったっけ・・・?」。
「うーん、ありましたね。何だっけ?」
ささっとスマホで調べてくれた方が
「ラ行変格活用の動詞です。じゃあ、コンジュゲゾンconjugaisonとの違いは何でしょう?」
たしかに語学の中では、よく活用コンジュゲゾンの話はでますが、デクリネゾンはあまり聞きません(まあ、私が覚えていないだけ・・)。
私「むむむ・・・」
またささっとスマホ。
「ああ、そうか。コンジュゲゾンは動詞の活用のことでした」
そうか。ということは、ありをりはべり・・はコンジュゲゾンのほうがまだ近いということに。
もう一度辞書を見ると、デクリネゾンは正確には性、数、格についての語尾変化とあります。つまり男性フランソワFancoisにたいして、女性フランソワーズFrancoiseみたいな感じでしょうか。
いい加減なことは言ってはいけません・・。しかしそれにしてもスマホの便利なこと! 勉強になりました。
今週の夏トリュフの香りは、それほどは強くないにしても、先週より少し強くなっています。ほっと一安心。
夏トリュフは皮がごわごわするので、もったいないのですが、ちょっと剥きます。
フォワグラをスライスにして
鳩の胸肉、フォワグラ、トリュフ、ファルスをちりめんキャベツと網脂で巻いて、オーヴンへ。
シャルトリューズは、かつては野菜だけで作っていたため、菜食主義のシャルトル修道会の名前がついているのだそう。
鳩の身は柔らかく繊細で、フォワグラとの組み合わせはなんと言っても美食の組み合わせです。
個人的にはもっと大人の鳩の、鳩らしい強い味でもいいのですが、この柔らかさとと上品さは捨てがたい魅力です。
火入れもうまくいって、真ん中で切るとピジョン・ブラッド(鳩の血色)の赤が美しく登場。
ああ、よかった。おいしく頂きます。
本日のワインは鳩に合わせてモンターニュ・サンテミリオンMontagne Saint Emilion2009、
つい最近、高校のときの同級生がシニアソムリエとしてフジマルワインショップに勤めておいでであることを知りました。そこで彼に素材と料理法とソースの名前を伝え、ワインを選んでもらいました。
合いそうなワインをずらずらっと並べ、流れるようにその理由を説明してもらった中から、私が興味を惹かれたものを選ぶことができる、というとてもありがたい状況にあります(しかも、うちからとても近い黒門市場近く)。今日はもちろん鳩のシャルトリューズに合わせて。
もう1本はAOCブルゴーニュ。こちらはしっかりしたタンニンのあとに、ふわっと花のような華やかな香りが広がり、鳩とのマリアージュを堪能しました。
チーズはノルマンディのリヴァロLiverot
かつては周囲は型くずれ防止のために、アシの一種の紐が巻かれていたのですが、最近は紙に変ってしまいました。かつての紐は干し草色だったのに、今はなんとも言えない紙の赤です・・。味はとてもおいしかったのですけれど、ショック。
デザートは今が旬のライチを使って、グラスデザートに
ライムのパンナ・コッタ、ライチとマンゴーで
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