- 村田 英幸
- 村田法律事務所 弁護士
- 東京都
- 弁護士
対象:民事家事・生活トラブル
- 榎本 純子
- (行政書士)
人員削減の必要性
整理解雇(人員削減)を行う必要性の程度には、
ア 企業が倒産の危機にある場合
イ 企業が客観的に高度の経営危機下にある場合
ウ 企業の合理的運営上やむを得ない必要性がある場合(代表例として、東京高判昭和54・10・29東洋酸素事件。ただし、判決文を読むと、いわゆる「経営合理化策」よりは少し程度が厳しいようにも見られる。)
エ 経営方針の変更などにより余剰人員が生じた場合(「経営戦略型」と呼ばれることがある)
古い裁判例の中には上記アまで要求する裁判例もあったが、かたや、比較的新しい裁判例には上記エで許容する裁判例もある。
使用者からは「財務諸表からすると、企業の経営が悪化しており、人員削減が必要である。」と主張され、それに対して、労働者から「企業経営は悪化していない」と主張されることが多い。いずれも抽象的であり説得的ではないとするとする見解もある。
裁判官は、財務や経営の専門家ではない。
そこで、財務分析(流動性比率、支払能力比率、収益性比率、労務費の分析など)を行うよう提案する見解もある。
確かに、上場企業の場合、財務分析は有用であるかもしれない。
しかし、中小企業の場合、従業員の人数が数十人という場合もあり、10人程度を整理解雇するだけで、給与の削減率が2割にもなる場合もあるので、あまり一般化して言えない場合もあろう。
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