- 村田 英幸
- 村田法律事務所 弁護士
- 東京都
- 弁護士
対象:民事家事・生活トラブル
- 榎本 純子
- (行政書士)
解雇回避措置の相当性
解雇回避措置の例として、以下のような具体策があり、←で示した内容は、その措置のデメリットを指摘したものである。
また、デメリットを指摘するのではなく、当該措置を取った場合のメリットに対する経営判断を裁判で指摘すべきとの見解もある。
・広告宣伝費、交通費、交際費などの経費削減
←企業活動が制約され、売上減少を招く危険性がある。
・役員報酬の減額
←銀行借入金の返済を実質的に役員が補填している場合には、返済がうまくいかない場合がある。
←有能な経営者を外部から招へいできなくなる。
←従業員を整理解雇しておきながら、役員だけが報酬を得ているのはけしからんという感情論である。
・残業規制
←業務の繁閑の時季や部署によって、残業を全くゼロにすることができない場合もある。
・新規採用の中止
←企業の新陳代謝が停滞し、人材育成、技術の世代間移転、従業員の人的構成などに支障が出る。
・中途採用の中止
←即戦力になる人材の確保に支障が出る。
・再雇用の中止
←経験豊富な人材の確保に支障が出る。
・従業員に対する昇給停止、賞与の減額または不支給、賃金減額
←従業員の士気が低下する。
・配置転換、出向、転籍
←企業規模や当該従業員の能力によっては取ることができない場合がある。
・ワークシェアリングによる労働時間の短縮、一時帰休
←代替性の困難な従業員には適用が困難である。
←休業手当を支払うと、労務費がかえって増加する。
・非正規雇用の従業員との労働契約の解消
←正社員のほうが人件費が高いというジレンマがある。
・希望退職者の募集
←退職金の上乗せなどの優遇措置を取ることが困難な場合がある。
←必要な優秀な人材が流出する危険性
・解雇予告期間を法定期間よりも長くしたこと
・整理解雇に伴う割増退職金の上乗せを提示したこと
・再就職先のあっせんや紹介
・整理解雇に伴う資金援助
←これらは、企業の規模や財務状況からは実際上取ることができない場合がある。
倒産危機にある場合には、解雇回避措置を十分に取る金銭的・時間的余裕がない場合もある。
経営戦略型の整理解雇の場合には、解雇回避措置を十分講じることができたであろうという評価もある。
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