- 村田 英幸
- 村田法律事務所 弁護士
- 東京都
- 弁護士
対象:民事家事・生活トラブル
- 榎本 純子
- (行政書士)
被解雇者の人選の合理性
①明示的な基準設定の要否
②基準自体の合理性
③基準適用の相当性
(1)明示的な基準の要否
明示的な人選基準が必要かどうかについては、
基準が必要であるとする見解、
あるいは、基準があることは人選の合理性を推認させる1つの間接事実(事情)に過ぎず、逆に基準がないことは人選の合理性がないことを推認させる事実であるとする見解がある。
(2)基準自体の合理性
ア 勤務態度の優劣
欠勤・遅刻・休職などの勤怠、非違行為や服務規律違反の有無・回数
イ 労務の量的貢献度の度合い
勤続年数
ウ 労務の質的貢献度の度合い
過去の実績、保有資格の有無、能力
エ 企業との間の密着度
正社員か、非正規雇用か
オ 労働者側の事情
年齢、家族構成、共稼ぎ夫婦か、扶養家族の有無・人数
(3)基準適用の相当性
過去の人事評価を基にした場合、
人事評価が書面化されているか、
人事評価が定期的に行われているか(整理解雇のために急遽作ったものではないか)、
人事評価が当該労働者に示されていたか、
人事評価をする者が上司・同僚・部下・取引先などの意見を反映した客観的・合理的なものかどうか(人事評価が恣意的なものではないか)、
人事評価が当該労働者にフィードバックされ、弁明や改善の機会を与えていたか、
などが問題となる。
人選基準に関する証拠資料
人事評価
労働者に提示した資料、
使用者側の内部検討資料、
取締役会議事録など。
労働者の勤務態度の悪さ・労働能力の低さについて、使用者が指摘すると、労働者が感情的に反応してしまう傾向がある。
この点に関しては、人選の合理性に関する使用者が主張をすると、どうしても、触れないわけにはいかない。
普通解雇に足りるほどの解雇事由がある場合、人選の合理性として、争点になることは、やむを得ない。
また、人選基準として、中高齢者を被解雇者とすると人件費削減の点では効果的であるものの、転職可能性が少ないという批判を受け、若年者を対象とすると、再就職は比較的容易であるが、人件費削減の目的からは効果が限定的であるという批判を受ける。
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