- 村田 英幸
- 村田法律事務所 弁護士
- 東京都
- 弁護士
対象:民事家事・生活トラブル
- 榎本 純子
- (行政書士)
(3)家庭裁判所の許可
家庭裁判所は、遺留分の特例に関する当該合意が推定相続人全員の真意に出たものかどうかを審査し、全員の真意であるとの心証を得た場合には、合意を許可することができるとされています(中小企業円滑化法8条2項)。
ア 許可の申立て方法
経済産業大臣の確認を受けた後、後継者は、1ヶ月以内に家庭裁判所に対して許可の申立てをしなければなりません(中小企業円滑化法8条1項)。
この申立ては、経済産業大臣の確認を受けた者、すなわち後継者が単独でする必要があります(中小企業円滑化法8条1項)。後継者単独で申立てをする点が遺留分放棄許可の申立てと異なる点です。
この場合の管轄は、旧代表者の住所地の家庭裁判所となります(家事事件手続法243条1項)
イ 必要書類
家庭裁判所に対する許可の申立てをするには、経済産業大臣が作成した、確認をしたことを証明する書面(当該確認に係る合意の内容が明らかにされたものに限る。)を、申立先の家庭裁判所に提出する必要があります。(家事事件手続規則123条)。
申立ての書式は、次のホームページに記載があります。
http://www.courts.go.jp/saiban/tetuzuki/syosiki/syosiki_01_69.html
また、申立てに必要な書類は、次の通りです。
申立書 1通
遺留分に関する民法の特例に係る確認証明書(経済産業大臣作成)1通
合意書面のコピー 推定相続人(申立人を除く。)の人数分の通数
推定相続人全員(申立人を含む。)の戸籍謄本 各1通
旧代表者の戸籍・除籍・改製原戸籍謄本(出生から現在までのもの)
各1通
ウ 不服申立方法
許可の審判は、当該合意の当事者の全員に告知されることになっており(家事事件手続法243条2項)、許可が下りない場合には、合意当事者は、即時抗告の方法で、高等裁判所に不服申立てをすることができます(家事事件手続法243条3項)。
具体的には、合意当事者は、告知を受けた日の翌日から2週間以内に、まず、審理をした家庭裁判所に即時抗告の申立書を提出した上で、次に、管轄地の高等裁判所に抗告理由書および証拠書類を提出することになります。
他方、申立人以外の合意当事者は、家庭裁判所の許可の決定に対して、上記即時抗告の方法で、高等裁判所に不服申立てをすることができます(家事事件手続法243条3項)。
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