相続放棄 - 家事事件 - 専門家プロファイル

村田 英幸
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村田 英幸
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閲覧数順 2017年10月18日更新

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相続放棄

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相続

3 相続放棄

(1)定義

 相続が開始して何もしなければ、相続人は相続財産を承継します(民法921条2号)。もっとも、相続人は、自らの意思で相続しないことも選択することができます。これを相続放棄といいます。

なお、相続するにしても、共同相続人全員の申立てで、相続人の固有財産をもって責任を負わない留保付で承認する場合(限定承認、民法922条)もあります。

(2)要件

ア 熟慮期間

 相続放棄は、自己のために相続の開始があったことを知った時(被相続人の死亡の事実および自己が相続人となったことを知った時)から3か月以内に家庭裁判所にその旨を申述しなければなりません(民法915条1項)。

 この3か月の期間は熟慮期間と呼ばれ、この期間内に相続放棄をしなければ、単純承認をしたものとみなされます(民法921条2号)。この熟慮期間は相続人各人、別々に進行します(最判昭和51・7・1家裁月報29巻2号91頁)。ただし、熟慮期間満了前に、家庭裁判所に、相続放棄の申述期間の延長を申立てれば、例えば、資産・負債が多岐にわたること、隠れた負債がある恐れがあり調査に時間がかかるなどの事情があれば、延長が認められる場合があります。

イ 手続

 相続放棄は、必要書類を添付して行う家庭裁判所への申述と、その受理審判(家事事件手続法別表第一の九十五)によって、効力が生じます。

 相続放棄の申述には、理由は必要とされていませんが、家庭裁判所は、申述者が相続人であるかどうか、相続放棄の意思が真意に出たものかどうか、法定単純承認にあたる事実がないかどうか、といった点について調査し、受理するかどうかを決定しています。

 また、旧家事審判法では、相続放棄の申述書には本人が自署するのが原則とされていましたが(旧家事審判規則114条2項参照。なお、家事事件手続規則1条では記名押印と改められています。)、本人が相続放棄の手続を他人に一任して印章を預け、申述書には本人または代理人の記名押印があるにすぎない場合であっても、家庭裁判所は、他の調査によって本人の真意に基づくことが認められるときには、その申述を受理することができます(最判昭和29・12・21民集8巻12号2222頁)。

東京家庭裁判所の実務では、弁護士の代理人がついている場合であっても、相続放棄をしようとする本人との直接の面接、郵便、電話等の適宜の方法により、必ず意思確認をしています。

ウ 要式行為

 相続放棄は、家庭裁判所への申述が必要な要式行為(法令等に定められた一定の方式に従わなくては、その効力が認められない行為)ですから、その手続に従わずに、勝手に放棄の意思表示をしても法的に意味はありませんし(大判昭和13・4・15判決全集5輯12号29頁)、放棄の契約も無効です(大判大正6・11・19民録23輯1701頁)。

(3)効果

ア 遡及効

 相続放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人にならなかったものとみなされます(民法939条)。相続放棄をした者に子がいる場合でも代襲相続は生じません(民法887条2項参照)。

イ 撤回・取消

相続放棄は撤回することができません(民法919条1項)が、民法総則および親族法の規定に従って取り消すことはできます(民法919条2項)。取消権は追認をすることができる時から6か月、放棄の時から10年で消滅し(民法919条3項)、取消権行使には家庭裁判所への申述が必要になります(民法919条4項)。

ウ 錯誤無効

 相続放棄について錯誤による無効主張もすることができます(最判昭和40・5・27家裁月報17巻6号251頁)。具体的には、他の相続人が全員、相続放棄すると思って、自身も相続放棄をしたところ、そのうちの何人かが相続放棄をしていなかった場合や、相続放棄する代わりに、財産を取得させてもらったが、相続放棄後、その財産の価値が当初、想定していたものと異なる場合等、動機の錯誤が問題となることが多いでしょう。

(4)事業承継における活用方法

 円滑な事業承継のためには共同相続人の中の後継者に相続財産を集中させる必要があります。

その手段の一つとして後継者以外の相続人に相続放棄をしてもらうことが考えられます。例えば、【事例】における経営者甲の妻乙、次男丁に相続放棄をしてもらうことが考えられます。

 もっとも、相続放棄は前述した通り、被相続人の死後、相続人自らが行うものでありますから、被相続人が相続放棄を強制することはできません。     

被相続人たる現経営者は生前に、相続人の意思を確認したり、相続人に相続放棄してくれるよう生前から頼むことはできます。

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